地政学は、日本ではマイナーな学問である。一方で、「地政学的リスク」という言葉のように「地政学」という言葉を私たちは普段から使っている。良く使う言葉の意味を実は知らない。そんなものの一つが地政学だと思う。
「地政学入門 外交戦略の政治学」(中公新書)は、地政学の概略をざっと知ることができる本である。地政学を一言で言えば、以下であると理解できる。
ひとまず世界の現実を大きく整理してみる考え方の一つが、すなわち地政学である。
地政学では、いくつかの流派があるため、本書では主な流派についてその考え方を紹介している。以下、本書の目次。
第一章 マッキンダーの発見
第二章 ハウスホーファーの世界
第三章 アメリカの地政学(モンロー主義の発展過程)
終章 核宇宙時代の地政学
この本を読むと、シーレーン(海上輸送路)を支配すること、そのために国の地理的な位置が重要であることが分かる。シーレーンは経済(貿易)と軍事の点から重要であり、その支配力を左右するのは国の地理的な位置である。国の地理的な位置は、そうそう変わるものではないため、各国政治課題は時代を通して変化しない。言い換えれば、時代を通して変化しない政治課題の真因を探ることが地政学である。
一方、科学技術の発展は、宇宙開発を可能にしていく。宇宙に打ち上げられた監視衛星はシーレーンの支配に大きく影響する。そのため、これから始まる各国による宇宙開発レースは、地政学の新しい検討材料となっている。