kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



TPPは何をもたらすか、その狙い

 TPPを日本語で書くとwikipedia:環太平洋戦略的経済連携協定となり、とても難しい。日本語表記の難しさは置いといて、その中身は簡単。日本・オーストラリア・アメリカなどの太平洋に面した国で貿易を活発にしましょうというもの。下の図を見ると、太平洋に面した国々で議論していることが分かりやすい。

(「TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉への参加」首相官邸ホームページより(2015年10月7日現在*1

 上の図をよく見ていると、2つの疑問が浮かんでくる。
 一つ目は、なぜ太平洋に面した国だけなのか? 飛行機が普通に飛んでいるのだから、モンゴルとかラオスとか内陸の国も参加しててもよさそうなものなのに。
 この疑問から考えると、貿易という観点では主役は船であることが想像できる。大量に物を運ぶためには、やっぱり船が主役なのだ。
 二つ目の疑問は、TPPに中国・ロシアが入っていないのか? どちらも輸出大国である。アメリカはなぜこの2国を外したのか。考え過ぎかもしれないが、TPPは、太平洋諸国による軍事同盟に向けての布石だと感じる。
 NATO(wikipedia:北大西洋条約機構)は、北大西洋諸国の軍事同盟である。これと同様のものを太平洋諸国にも作っていこうという意図が感じられる。その設立は、第1段階は、太平洋沿岸諸国による貿易・経済圏をつくる。第2段階は、敵国を設定し、この経済圏が脅かされているという状況を作り上げる。最終段階で、この脅威に対抗するためには、太平洋沿岸諸国による軍事同盟を設立する。
 
 さらに、最近成立した安保法案をあわせて考えると一層興味深い。安保法案については「安保法案とは、そもそも何? わかりやすく解説【今さら聞けない】」を読んでほしい。ポイントは、日本が武力行使できる機会を次のように広げたこと。

「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」

 TPPを軍事同盟に発展させようとしたとき、日本がその軍事同盟に参加するためには安保法案は必須である。太平洋諸国間の貿易が脅かされる事態になったとき、TPP加盟国は一体となってその事態に立ち向かう、そんな軍事同盟をつくることを考える。安保法案がなければ、日本は直接的な攻撃を受けなければ反撃できない。そんな国を軍事同盟にいれても、迫力ある同盟ができないのだ。

 「地政学入門」(中公新書)を読みながらTPPの上の図を見ていたら、これは軍事同盟だと直感する。地政学は日本ではマイナーな学問であり、TPPを軍事同盟とつなげるのは荒唐無稽に思われるかもしれない。しかしながら、大切なことは、欧米各国や中国・ロシアの政治家は、地政学的にこのような視点でTPPを見ているということだ。

まとめ

 TPPは太平洋沿岸諸国の貿易協定である。しかしながら、これは軍事同盟に発展する可能性が大いにある。その軍事同盟設立の布石として安保法案が必要であった、と考えられる。