kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



『ユーチューバーが消滅する未来』(岡田斗司夫)の感想

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 95%の凡人は、AIに仕事が奪われる! 以下の書き出しから本書は始まります。

 もちろん、人口のうち5%くらいの人は、何をやらせてもうまくやれるでしょう。恐ろしく知能が高いとか、人を使うのがうまいとか、容姿や振る舞いがすごく魅力的だとか、そんな人はどんな時代でも好きなことをやって楽しく生きていけますし、仕事だっていくらでもあります。

 でも、人口の9割以上は、可でもなく不可でもない普通の人たちです。そういう普通の人たちは、クリエイティブ能力やコミュニケーション能力が少々あったところで、仕事がなくなってもまったく不思議ではありません。

ただし、すべての仕事がなくなるという現実はあまりにも辛い。運がいい人は、やらなくてもいい仕事を、必要な仕事であるかのようなフリをして続けようとはするでしょうけど。

 

内容概略

 岡田斗司夫さんの『ユーチューバーが消滅する未来』は、AIの発展やVR技術の進歩によって、私たちの仕事や生活が大きく変化していく未来を予測した本です。特に、若者を中心に人気を集めているユーチューバーという存在が、AIの発達によってどのように変化していくのか、そして私たちがどのようにこの変化に適応していくべきなのかについて深く考察しています。

 本書は、AIが動画編集やコンテンツ生成を自動で行えるようになることで、現在のユーチューバーの役割が大きく変化し、最終的には消滅してしまう可能性があると指摘しています。また、VR技術の普及により、人々はより没入感のある仮想空間でエンターテイメントを楽しむようになり、従来の動画コンテンツの価値が相対的に低下するとも予測しています。

 また、ユーチューバーの未来だけでなく、アイドルの楽しみ方の変化、恋愛の仕方の変化、人間関係の変化について考察し、将来を予測しています。


本書の特徴

 この本の大きな特徴として、以下の3点が挙げられます。

  • 未来予測の具体性:AIやVRといった具体的な技術の発展を基に、10年後の社会の姿を詳細に描き出している点です。
  • 危機感と希望:AIの発展による仕事の変化に危機感を抱きながらも、人間にしかできないことや、新しいビジネスチャンスについても言及している点。
  • 多角的な視点: 技術的な側面だけでなく、社会や経済、文化など、多角的な視点から未来を分析している点。

 

感想

 予測された未来の内容(What)よりも、その予測方法(How)の方に、私は大きな興味を持ちました。

 ビジネス等で未来を予測する方法には、PEST分析やシナリオプランニング、デルファイ法、トレンド分析など様々なものがあります。この本では、そのどれでもない「人々の価値観の変化」に基づいて、AIやVRといった技術の発達が未来に与える影響を考察しています。「人々の価値観の変化」に基づく未来予測をした本を、私はこれまで読んだことがなく、この点においてとても面白く読みました。

 この本で注目している価値観の変化は以下の3点です。

  •  第一印象至上主義:最初に感じた第一印象やその時の感情を絶対視してしまうこと。例えば、誰かのツイートを見てカッとしたら、そのカットした感情を肯定する情報ばかり集めるようになる。フェイクニュースを見て、どう思う(面白い、驚くなど)かが大切で、そのニュースが本当かどうかなんて関心がない。
  • 自分の意見を考えるより探す:自分で回答を考えるのではなく、大勢の意見から、自分にあった意見を選ぶようになっていること。例えば、映画を観た後に、どこが面白いか考えるのではなく、X(旧Twitter)を眺めてみんながどう思ったかを探し、その意見を拝借する。
  • 中間はいらない:特別良いもの、特別人気のあるものには関心を持つが、そこそこなものには関心がないこと。例えば、イケメン・美人の彼氏・彼女とは付き合いたいが、そこそこの彼氏・彼女とは妥協して付き合おうと思わない。

 

まとめ

 本書は、AIやVRの発展がもたらす未来社会の姿を、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説している。読者は、この本を読むことで、未来に対して新たな視点を得るとともに、自分自身の生き方について深く考えるきっかけとなるでしょう。

 

面白かった箇所の抜粋(名言)

AIが進歩すればするほど、僕らはどんどん無能になっていく。愚かな人間から順番に、賢い機械に仕事を奪われていく。

 

私たちは、高度情報化社会というと、ついつい「いろんな種類の情報が溢れる社会」という風に考えてしまいます。IT本や、インターネット本を読んでも「世界中から情報が集まってその中の好きなものを選べる」という、楽しいけれど無責任なヨタ話が載っています。

 しかし、情報化社会の本質とは、

「世界中の小さな事件の客観情報まで入ってくる社会」ではありません。

「大きな事件の解釈や感想が無限に溢れだす社会」なのです。

 

もっと重要な変化は、それぞれの人が「自分の解釈で世界を見る」ということだと

思うんです。

 

僕らは少しずつ貧しくなり、貧乏人同士が足を引っ張り合って、お互い生きづらくなっていきます。その結果、巨大資本の企業だけがますます発展していくという構造になっている。

 

「リアルな恋愛は、ダサくて、不便で、不経済」

 

非人間的な行為が人間をダメにする

 

世間の関心は新しいニュースに向かい、元の情報が正しかったかどうかなんてどうでもよくなってしまう。

 

「なりたい自分になって幸せになろう!」と自己啓発書は謳うわけですが、僕は自己実現を目指すことが大多数の人にとっての幸せとは思えないんです。

 

(冒頭画像はAI(Microsoft Designer)にて生成)