kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



映画「ミステリと言う勿れ」広島編 の感想

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 映画「ミステリと言う勿れ」を観てきました。

 菅田将暉は良い役者ですね。上手でした。周りのことをよく見ていて、気になったことは周囲の気持ちを気にせず口にする人物です。この久能整を彼は上手に演じていました。TVドラマ「ミステリーと言う勿れ」と同じく音楽はKing Gnuの「カメレオン」。これが流れると、ドラマでおなじみの世界観にどっぷり浸かってしまう。

 この菅田将暉の演技と音楽「カメレオン」は強力で、どんなストーリーでも同じ後味にしてしまいそうです。

 しかし、原菜乃華の演じる汐路が、それに抗いこの映画に個性を与えています。この映画の主役は汐路と言えるでしょう。汐路はひどく歪んでおり、その歪みがこの映画の見所です。

 

「バイトしませんか。お金と命がかかっている。マジです。」そう言って汐路は、整を狩集家の莫大な遺産相続争いに巻き込む。狩集家の遺産相続は先代・先々代と死人がでており、今回も死人が出ると汐路は言う。

 

 映画の前半と後半で汐路の態度が変わることに注目です。事件を起こしたいのか、防ぎたいのか、汐路の態度は揺れます。最初に整を誘った汐路の目的は何なのか? 矛盾する心情がそこにあるよう思えます。

 

 ラストは車坂朝晴が存在感を出す。汐路は彼を「あさちゃん」と呼ぶ。その声はとても優しい。朝晴も汐路を信頼しており、彼もまた歪んでいます。歪んではいても、彼が汐路をどう思っていたのかを考えると、切ない気分になります。彼も被害者です。

 

まとめ

 菅田将暉演じる久能整とKing Gnuの音楽「カメレオン」はTVドラマと変わらずで心地良い。原菜乃華の演じる汐路の抱える歪みとそれによる矛盾、そしてそれらを隠すように明るく振る舞う様子がこの映画の見所でしょう。

 映画の中で上手く犯人の動機が描かれていますが、家に帰って落ち着いて考えなおすと、そんな馬鹿なことは無いだろうと思ってしまう、そのギャップも見事です。

 映像に注目すると、黄色みのある色調が使われているシーンが殆どで、たまに青みのあるカットが挟まっていました。青はこれから起こる不幸や不安の暗喩でしょう。また映像の黄色みも強弱がつけられています。例えば、整くんが優しく強く語るシーンでは黄色が強くなり、遺産相続候補が不安そうに語るシーンでは薄い。監督の制作意図が色調にも込められていそうです。