kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ベニカスプレーの種類が多すぎる問題を解決!

 園芸をしていると、植物の病気や害虫に対抗するため、農薬を使う場合があります。農薬に対する不安は、しばしば情報不足に起因します。

 また、園芸店やホームセンターで農薬を探すと、ベニカXネクストスプレー、ベニカXファインスプレー、ベニカXスプレーなど「ベニカスプレー」と類似の名前の製品がたくさんあり、どれを買うのが良いのか迷います。

 そこで、住友化学園芸の製品を中心に農薬について調べましたので、ここにまとめます。

 

害虫用と病気用で薬品は異なる

 「病害虫」に効くと言われる製品は多いですが、それらは害虫に効く成分と病気に効く成分を混合しています。そこで、まずは害虫に効く成分と、病気に効く成分に分けて整理します。

 

害虫に効く薬

 害虫に効く薬を系統別に以下に記します。

  • ネオニコチノイド系
    • 神経毒性: 昆虫の神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体に結合し、神経細胞を異常に興奮させることで昆虫を死に至らしめます。
    • 接触毒性と食毒性: 昆虫に直接かかっても、薬剤がかかった葉を食べても効果を発揮します。
    • 浸透移行性: 水溶性が高く、植物全体に浸透しやすいため、植物の隅々まで薬効が行き渡ります。
    • 残効性: 一度の散布で長期間効果が持続するため、散布回数を減らすことができます。
  • 有機リン系
    • 神経毒性: 神経伝達物質アセチルコリンの分解を阻害することで、昆虫の神経系に作用します。これにより、神経伝達が異常になり、昆虫を死に至らしめます。
    • 接触毒性と食毒性: 昆虫に直接かかっても、薬剤がかかった葉を食べても効果を発揮します。
    • 浸透移行性: 一部の有機リン系農薬は植物に浸透し、植物の隅々まで薬効が行き渡ります。
    • 残効性: 効果が長期間持続するため、散布回数を減らすことができます。
  • 合成ピレスロイド系
    • 速効性: 昆虫に対して即効性があり、速やかに効果を発揮します。
      広範な効果: 多くの害虫に対して効果があり、アブラムシやカメムシ、イモムシなどに有効です。
    • 神経毒性:昆虫の神経軸索の表面にあるナトリウムイオンチャネルに結合し、これを常に開放状態にします。その結果、ナトリウムイオンが神経内部に流入し、昆虫は異常興奮状態に陥り、昆虫を死に至らしめます。
    • 接触毒性と食毒性: 昆虫に直接かかっても、薬剤がかかった葉を食べても効果を発揮します。
    • 浸透移行性はありません:植物全体まで薬効が広がることはなく、薬剤が直接昆虫にかかるか、昆虫が薬剤のかかった葉を食べた場合にのみ効果を発揮します。
    • 残効性: 分解や耐雨性が高く、長期間効果が持続します。
    • 忌避効果: 害虫が嫌がって近づかなくなる効果もあります。
    • 低毒性: 哺乳類や鳥類に対しては低毒性であり、環境中で分解されやすい特徴があります。

 

病気に効く薬

 うどん粉病や黒星病など病気に効く薬を系統別に以下に記します。

  • アニリノピリミジン系
    • 作用機構: アニリノピリミジン系殺菌剤は、アミノ酸およびタンパク質の生合成を阻害することで、菌の成長を抑制します。
    • 浸透移行性: 植物組織中に浸透しやすく、耐雨性に優れています。
    • 予防効果と治療効果: 予防効果と治療効果の両方を持っています。
  • EBI系(エルゴステロール生合成阻害剤)
    • 作用機構: EBI系殺菌剤は、病原菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの生合成を阻害します。これにより、菌糸の成長が抑制され、病原菌の増殖を防ぎます。
    • 浸透移行性: 植物組織中に浸透しやすく、耐雨性に優れています。
    • 予防効果と治療効果: 予防効果と治療効果の両方を持っています。
  • ベンゾイミダゾール系
    • 作用機構: ベンゾイミダゾール系殺菌剤は、病原菌の細胞分裂を阻害することで効果を発揮します。具体的には、微小管の形成を妨げることで有糸分裂を阻害します。
    • 浸透移行性: 植物組織中に浸透しやすく、耐雨性に優れています。
    • 予防効果と治療効果: 予防効果と治療効果の両方を持っています。

 病気に効く薬剤については別記事にもまとめていますので、ご参照頂ければ嬉しいです。

kota.hatenablog.com

 

ベニカスプレーの成分を整理

 ベニカスプレーは全11種類あり、それぞれの成分を以下にまとめます。

 

ベニカスプレーの薬効成分
虫 or 病気 殺虫成分 殺菌成分
 系統 ネオニコチノイド系 有機リン系 合成ピレスロイド系 その他 気門封鎖系 アニリノピリミジン系 EBI系 ベンゾイミダゾール系 その他
薬効成分  クロチアニジン   ペルメトリン フェンプロパトリン ピリダリル BT菌 還元澱粉糖化物 調合油 メパニピリム ミクロブタニル   マンデストロビン
ベニカXネクストスプレー              
ベニカXファインスプレー                  
ベニカXスプレー                    
ベニカJスプレー                    
ベニカナチュラルスプレー                  
ベニカVフレッシュスプレー                  
ベニカグリーンVスプレー                    
ベニカベジフルVスプレー                    
ベニカベジフルスプレ                      
ベニカAスプレー                      
ベニカマイルドスプレー                      

 

まとめ

 ベニカスプレーには11種類もあり、どれを選べばよいか迷うことがあります。そこで、それぞれの薬効成分を整理してみました。

 多くの製品には殺虫成分と殺菌成分の両方が含まれていることが分かりました。私は既に殺菌剤を別途使用しているため、殺虫成分のみを含むのが必要です。殺虫成分のみのものを選ぶと以下の通りです。

  • ベニカJスプレー:ネオニコチノイド系と合成ピレスロイド系の2種混合
  • ベニカナチュラルスプレー:BT菌*1と気門封鎖系の混合
  • ベニカベジフルスプレー:ネオニコチノイド系
  • ベニカAスプレー:合成ピレスロイド系
  • ベニカマイルドスプレー:気門封鎖系

 

 結果として、私はベニカJスプレーとベニカナチュラルスプレーの2種類を状況に応じて使い分けることにしました。

 

*1:バチルスチューリンゲンシス菌