kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



日本の難点

 宮台信司の「日本の難点」を読んだ。この本を読むことを私は他者に勧めない。私の頭ではこの本に書いてあることが殆ど理解できず、この本を評価できないためである。理解できない理由は主に二つ。

  • 筆者独自の用語が多用されている
  • 主張の根拠として示される引用が(一般人にとって)一般的でない

 しかしながら、近年歯ごたえのある硬い本が少ない中で、この本はその難解さ故に光を放つ。分からないながらも、私の心に引っかかった部分は以下である。

  • 「幸せ」が分かりづらくなっている
    • 格人が誰に承認されたいのか(平たく言えば褒められたいのか)、何を褒められたいのかがポストモダンな現代は分かりづらい。
    • 社会がカッコよいとするものに価値基準を合わせがちであるが、そこに幸せがあるわけではない。
  • 環境問題は政治問題である
    • なぜブッシュは二酸化炭素排出規制に米国が参加することに消極的だったのに、オバマは積極的なのか。このような問いを立て、環境問題を人道問題としてではなく、政治問題として見る視点が必要である。
    • 米国の環境問題に対する動きは、IT化推進時の米国の動きを思い起こさせる。当時ITバブルと呼ばれたように、利益の出てないITベンチャに世界から投資を米国に集め、その金で米国のITインフラの整備を進めた。最後にはITバブル崩壊という形でベンチャは潰れ、世界の投資家は自己責任の言葉の下に損をかぶった。一方、米国にはITインフラが残り、米国の成長の礎となった。

 この本が書いてあることが正しいとは思わないが(分からないが)、理系馬鹿な私に新しい視点を提供することは確かであると思う。そして、視点の多さを教養と呼ぶのだと思う。

日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)