オートフォーカスの方式には、位相差AFとコントラストAFの2方式があり、それぞれ以下の特徴がある。デジタル一眼レフカメラではその合焦速度の速さ故に位相差AF方式が使われ、コンパクトデジカメにはそのコストの低さゆえにコントラストAF方式が使われている。
合焦速度 | 合焦精度 | コスト | |
---|---|---|---|
位相差AF | 高速 | 低精度 | 高コスト |
コントラストAF | 低速 | 高精度 | 低コスト |
最近は、ミラーレス一眼の登場や、デジタル一眼レフカメラでのライブビュー撮影を行う場合に、上のようなAF方式の住み分けでは困ったことが生じる。ミラーレス機では、ミラーが無いため位相差AFを採用することができず、一眼カメラでありながら高速なAFを実現できなかった。また、デジタル一眼レフカメラでのライブビュー撮影でも同様にミラーが上がりっぱなしになるため、位相差AFを実行できず、ライブビュー撮影の合焦速度は非常に遅い。そこで、ミラーを使わない位相差AFを実現するための研究・開発がカメラメーカの間で行われてきた。例えば、http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20100706/1278372369
このほど、フジフィルムがミラーを使わない位相差AFを実現するキーデバイスであるCCDの量産を開始した。このCCDは、位相差AFを実施するための測距用のフォトダイオードを撮像用のCCDの上に実現している。測距用のフォトダイオードを撮像用のフォトダイオードよりも大きくする必要が本来はあるのだが、これを同じ大きさとすることで製造歩留まりを上げている。ただし、この歩留まりを上げる工夫のため、暗所での位相差AFの実施は難しい。
フジフィルムのCCDは、歩留まり改善のため暗所での位相差AFが苦手であるが、将来製造技術が向上すればこの点も改善されるであろう。デジカメの進化の方向の一つがミラーを使わない位相差AFの実現であることには間違いないように思う。