kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ニコン1の撮像素子が1インチである理由

 Nikon 1 V2が11月15日に発売され、ネットの評判もなかなか良いようです。デジタル一眼カメラの魅力は、レンズが交換できるため、一度良いレンズを買っておけばカメラ本体を買い替えても、そのレンズを使い続けられることです。カメラ本体は日進月歩で性能が上がっていくことを思えば、レンズを使い続けられるというのは大変お得です。一方で、一度レンズマウントを決めてしまうと、後々までレンズマウントにカメラの設計が制約されます。また、レンズマウントと撮像素子の関係は強く依存していますので、一度決めた撮像素子の大きさを後で変更することも難しい。
 撮像素子については、ソニーのNEXがAPS-Cサイズの撮像素子をつみ、オリンパスPENがフォサーズの撮像素子をつむ中で、ニコンは敢えて1インチサイズの撮像素子を積みました。下のグラフは、撮像素子の面積を比べたものです。1インチの撮像素子は、APS-Cの約30%の面積しかありませんし、フォーサーズの52%の面積です。一般に、撮像素子の面積が大きいほど暗い場所で撮影した時の画質がよくなります。それなのに、なぜニコンは1インチサイズの撮像素子を選んだのでしょうか?

 撮像素子が小さいことにも利点があります。それは、レンズが小型になることです。レンズが小型になれば、カメラ全体も小さくなりますし軽くなります。利点はそれだけではなく、実はオートフォーカスが速くなるのです。オートフォーカスは、レンズを動かしてピントを合わせています。レンズが小型になるとレンズが軽くなり、レンズを素早く動かすことができます。
 Nikon 1 V2は毎秒15コマという滅法速い連射速度を備えています。毎秒15コマでピントを合わせ続けるためには、約0.07秒でオートフォーカスが動作する必要があります。こんな高速なオートフォーカスは、50万円以上するデジタル一眼レフ(例えば、キヤノンEOS-1DXやニコンD4)でもできません。レンズが大きく重いため、素早く動かせないためです。
 

まとめ

 撮像素子の性能は日進月歩で進化する。一方で、重たいレンズの駆動速度の向上はなかなか進まない。ニコン1の高速オートフォーカスは、ソニーキヤノンでは今後も真似できない。また、画質はRAWで撮ってPCでRAW現像すれば向上することを考えれば、軽快さという武器を選んだニコン1の戦略は、かなり正しい。