kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ミラーレスカメラの本体・レンズ分析

はじめに

 ミラーレスカメラが人気である。ミラーレスカメラの位置づけは、コンパクトデジタルカメラコンデジ)とデジタル一眼レフカメラの間のセグメントを狙った商品である。コンパクトデジタルカメラを長く使っているうちにもっと高画質な写真を撮りたいけど、デジタル一眼レフのような大きいカメラには抵抗があるというユーザ向けのカメラである。
 こんなデジタル一眼レフコンデジの間のセグメントに、撮像素子の大きさの異なる様々なミラーレスカメラが販売されており、ユーザとしてはどれを選んでよいのか迷う所である。ミラーレスカメラの特徴をまとめると次の通りになる。

  • 重さ:持ち運びには軽い方がありがたいが、撮影時には重い方が手ブレが防げて嬉しい。
  • 大きさ:持ち運びには小さいほうがありがたいが、撮影時には大きいほうが操作性に優れて嬉しい場合が多い。
  • 画質:撮像素子のサイズが大きいほど、画質は良いが、レンズやカメラの大きさ・重さが増えガチとなる。

ミラーレスカメラを選択する際に、これらに対して次のように悩むと思う。

  • 大きさ:自分に負担のない大きさはどれくらいだろう?
  • 重さ:自分に扱える重さはどれくらいだろう?
  • 画質:撮像素子の大きさはどれくらい画質に影響するのだろう?

 ミラーレスカメラを買おうとする人は、上の問いに答えが出せずに様々なレビュー記事を読むことになるのではないだろうか。しかし、レビュー記事では「いい」とか「ここは改善望む」とか、定性的な表現で書かれているものが多く、いくら読んでも結局良くわからない場合が多い。
 そこで、このエントリでは、数値データに基づいてミラーレスカメラを分析しようと思う。

撮像素子の大きさ比較

 まず、各社のミラーレスカメラの撮像素子を表にまとめる。

メーカー 製品例 撮像素子
キヤノン EOS M APS-C
オリンパス PENシリーズ フォサーズ
パナソニック GFシリーズ フォサーズ
ソニー NEXシリーズ APS-C
ニコン J1/V1 1インチ
ペンタックス ペンタックスQ 1/2.3

画質に影響する撮像素子面積をグラフで比較すると次のようになる(1/1.7のデータは参考データ。リコーGR DigitalオリンパスXZ-1がこの撮像素子を搭載する)。

 面積比を求めると、APS-C:フォサーズ:1インチ=3.4:1.9:1 であり、おおよそ3:2:1である。

マウントの大きさ比較

 撮像素子が大きくなると、その分イメージサークルも大きくする必要があるため、一般にマウント径が大きくなる。マウント径が大きくなるとレンズも大きくなる。各社のミラーレスカメラのマウントのデータを次にまとめる。

メーカー  マウント名称 フランジバック長(mm) マウント外径(mm)
キヤノン EF-M 18 58
オリンパス/パナソニック マイクロフォーサーズ 20 40
ソニー E 18 59
ニコン ニコン1 17 36
ペンタックス Q 9 29

 撮像素子の大きさでは、キヤノン=ソニー> オリンパス/パナソニック > ニコン > ペンタックスであり、マウント径の大きさがピッタリこの順番であることがわかる。フランジバック長もおおむねこの順番であるが、キヤノンのEF-MマウントとソニーEマウントのフランジバックが非常に短いことがわかる。こんなに短くしてテレセントリック性は大丈夫なのかと心配したくなる。撮像素子は大きいのにカメラボディは小さくしたいという両社の戦略が見える。*1
 
 次に、参考としてデジタル一眼レフカメラのマウントをまとめる。これと比べると、ミラーレスカメラのマウントのフランジバック長が非常に短いことがわかる。

メーカー  マウント名称 フランジバック長(mm) マウント外径(mm)
キヤノン EF 44 65
ソニー A 44 55
ニコン F 47 44

レンズの比較

 ミラーレスカメラがコンデジと大きく異なる点は、レンズ交換が可能という点である。また、「本体は消耗品、レンズは資産」という言葉があるように、カメラ本体は数年で陳腐化するため2〜5年で買い替えるユーザが多いようであるが、レンズは10数年使い続けることが多い。そういった点でもミラーレスカメラを選ぶ際にはカメラ本体よりもレンズに注意を払う必要がある。
 各社から出ているレンズをまとめたのが、下の図である。下の図ではレンズの焦点距離(35mm換算)と重量の関係を示している。この際、ズームレンズに関しては最大焦点距離を使っている。

これを見ると、次のことがわかる。

  • μフォーサーズのレンズの種類が圧倒的に多い。
  • μフォーサーズのレンズの重量は、おおむね200g以下である。
  • EF-Mのレンズは、短焦点距離のレンズしかない(オレンジ点線枠)。
  • Eマウントの望遠レンズの重量は、300g〜500g程度である(緑点線枠)。
  • ミラーレスカメラ全般に、100mmから200mmのレンズが無い*2

 上図を見ていると、ミラーレスカメラのメーカー各社は、広角レンズ(オレンジ点線囲み)を使うことが適当だと考えているようにも思える。確かに、大きな望遠レンズを小さなミラーレスにつけている姿は、決してカッコいいものではない。
 下の図は、オレンジ点線囲みの範囲をクローズアップしたものである。

これを見ると、人物撮影に向いているとされる80mm〜100mmの範囲のレンズの重量は、おおよそ100g〜200gであることが分かる。

カメラ本体の比較

 各社のミラーレスカメラの本体重量を比較したのが、下の図である。意外なことにこれらには大差がなくおおむね200g〜300gである。
 参考として、デジタル一眼レフカメラのエントリー機であるニコンD3200のデータも図に示している。D3200の重量が455gであるから、ミラーレスカメラはこれと比べ150g〜250g軽量であると言える。また、コンデジDSC-RX100ソニー製:1インチ撮像素子を搭載)は、レンズ含みで213gと軽量であることがわかる。


まとめ

 人気のミラーレスカメラを数値データを使って客観的に分析した。これによると、以下のことが言えそうである。

  • 撮像素子の面積比は、おおよそ APS-C:フォサーズ:1インチ=3:2:1 である。
  • レンズは、広角〜標準レンズが充実しており、重量は100g〜200gである。
  • カメラ本体の重量は200g〜300gで、撮像素子のサイズによらない。
  • ミラーレスカメラの本体とレンズを合計すると、300g〜500gになる。これは、DSC-RX100コンデジ)が213gであることを考えると、倍以上の重さになる可能性がある。

*1:実際は、後発のキヤノンソニーに合わせたのだと想像する。また、キヤノンソニーよりも短いフランジバックとしなかったことから、APS-Cサイズの撮像素子には18mmというフランジバック長がギリギリなのだとも推測できる。

*2:望遠ズームレズの広角側でカバーできるが