kotaの雑記帳

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資本主義の終焉と歴史の危機

 本書は、資本主義の根本を考える本である資本主義とは何か?その成立要件はなんだろうか?

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義とは、金を持っている人間が労働力を金で買い、利潤を追求する社会システムだ。

基本原理としては生産手段を持つ資本家が、生産手段を持たない賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システムである。

(wikipedia:資本主義より)
 
 みなさんが、普段何気なく耳にするニュースに疑問を感じたことはないだろうか? 経済ニュースで、今年のGDPの伸び率が報道され、GDPの伸びが低いと何か問題があるように伝えられる。また、企業の社長が成長戦略について語っている。なぜ、会社は成長しなければいけないのか? 何故GDPは成長しないといけないのか?
 成長が問題になるのは、私たちが資本主義の社会に住んでいるためだ。投資家を儲けさせるためには、社会が成長する必要があるのだ。資本家が企業に投資をし、リターンを得る。そのためには、企業が成長する必要が有る。企業の成長を大くくりに測るものがGDPだ。GDPが伸びないというのは、投資家が受け取るリターンが低いということを意味する。
 国債金利は、GDPの伸びとつながっている。そうして、これは投資家の儲けの一つの指標でもある。国債で集めたお金は、様々なところに投資され、そのリターンが金利で表される。
 現在、日本はマイナス金利である。上のことを考慮すると、マイナス金利とは、資本主義社会システムでは異常なことだ。お金を投資すると、お金が減るということだ。投資家は投資先がない。投資先のない資本主義社会なんて、矛盾している。
 
 本書の面白い点は、資本主義と民主主義の関係について触れているところだ。資本主義は経済システムだ。今日の経済は、グローバル化しており、一つの国に経済が閉じていない。それゆえ、資本活動は一つの国内に閉じない。一方、民主主義は政治システムであるため、一国に閉じたシステムである。このため、資本主義活動は国をまたいだ最適化を目指し、民主主義活動は一国内での最適化を目指す。この齟齬が、資本主義を終焉と向かわせると、著者は主張する。

まとめ

 資本主義とは何か? そんな根本を考えるきっかけを本書は提供する。根っこの問題を考えるというのが教養というものだ。