kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



フェイクニュースの時代だから読みたい、図書館戦争

 お前たちは偽ニュース(Fake News)だ。アメリカのトランプ大統領はCNNなどマスメディアと対決する。ニュースが事実化どうかよりも面白いかどうかを読者は重視するポスト事実(Post Fact)の時代と言われている。
読者の嗜好に合わせてマスメディアも報道を行う。TVで健康効果を誇大に報道する健康情報番組や、政治家のゴシップを流す新聞など、マスメディアの偽ニュースぶりはエスカレートしている。
 
 マスメディアによる青少年に悪影響を与える有害情報を取り締まるメディア良化法が成立し、メディア良化隊による出版物の検閲が認められた社会。これが、有川浩の「図書館戦争」シリーズの舞台である。この検閲に対抗するため結成された図書隊はメディア良化隊と銃器を使った武力抗争を行う戦闘部隊。一見荒唐無稽な設定も、“偽ニュース“が話題の昨今はリアリティも感じられる。
 主人公の笠原郁は、身長170cm級の戦闘職種の女子。考えるより先に体が動く直情型、失敗ばかりのドジな性格でもある。正義感が強く、本を検閲から守るため良化特務機関と戦う。
 
 図書館戦争は実写映画やアニメにもなっているので、ご存知の方は多いだろう。小説の方は図書館戦争シリーズとして現在6冊が出版されている。映画やアニメになっていない話を読むことができる。
 
 個性豊かな登場人物が図書館戦争シリーズの読みどころだ。怒れるチビ、鬼教官の堂上篤は、主人公笠原郁の憧れの人でもある。友人柴崎麻子は、情報収集に長けており皮肉屋でもある。これらの登場人物が、本を愛し、検閲から本を守る。
 もう一つの読みどころは、読点(、)の少ない文章だ。下の文章には読点が一つしかない!! 句読点が少ないため、テンポ良く文章が頭に入ってくる。その文体が有川浩の魅力だ。

 市内の図書館で出した注意書きに男の特徴を一切載せず「図書館内や書店で盗撮などの猥雑行為が横行しています。利用者の皆さんは気を付けてください」と無難な文面にしてあるのも、図書館が取り逃がした男の情報をつかめていないという油断を誘うためだ。

(「図書館危機」39ページより)

まとめ

 本や雑誌に強烈な検閲が許され、自由に読めない世界。その検閲と戦う戦闘集団として図書館が存在する、そんな突拍子のない舞台設定の中でストーリーが展開されていく。
 すでに実写映画やアニメ化がされているので、図書館戦争シリーズをご存知の方は多いはず。しかし、小説では、その続きをたっぷりと楽しむことができる。

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