kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



とびきり愉快なイギリス史:中でもヘンリー八世は愉快なヤツだった

 もし会社が無かったらどうなるんだろう?もし国というものが無かったら世界はどうなのだろう?もし離婚が禁止されていたら、

 

 歴史は面白い。有って当たり前のものが無い社会のことが分かる。無かったものが初めて出来たときの様子が分かる。何故できたのか?どうやってできたのか?どう発展していったのか?そこには人間臭いドラマがある。

 歴史の授業はつまらない。人間臭いドラマを削ぎ落し、”1492年アメリカ大陸発見”などと表面的な出来事の羅列ばかりだから。

 

 「とびきり愉快なイギリス史」は、歴史の人間臭いドラマを記している。そして、イギリスこそが今となって「有って当たり前」の多くが生まれた場所だ。経済の仕組みである資本主義(「会社」があるのは資本主義のおかげだ)、政治の仕組みである民主主義など、多くがイギリスで生まれた。

 

 例えば、クロムウエルと言う人物を、歴史の教科書風に書くとこんな感じだろう。正確だけどつまらない。

ジェントリで熱心なピューリタンであり、独立派を率い、ピューリタン革命を指導、イギリスに共和制を出現させた。権力を握ってからは護国卿として独裁的な権力を行使したため、その死後は革命は後退し王政復古となった。

(世界史の窓 クロムウェル より)

 

 本書での書き方はこんな感じ。

クロムウエルは、最初議会軍のために志願兵を訓練していたのが、すぐにトップ・クラスにと躍り出た。(中略)クロムウエルに一つ、職業軍人を集めた最新鋭エリート軍隊を結成してくれと頼むんだ。これは「ニューモデルアーミ」と呼ばれて、兵隊たちはそれまで聞いたこともない一日の日当十ペンスも払ってもらうことになる。(中略)戦争は恐ろしく強かったんだけど、みんな「清く正しく小うるさい」のばかり、酒は飲まない、汚い言葉は口にしない、レイプしない、略奪しないよう訓練されていた。でもこれが戦いとなると、すごいのなんの、大して訓練も受けていない王党派の軍隊を、出くわすたびに打ちのめした。

 この部分で分かるのは、議会派と王党派が戦っていたこと、クロムウエルの兵は日当をもらっていたこと(それまでなかったらしい。。)、レイプしないし略奪もしない(それまではするのが普通だったらしい)、訓練されていた(それまでは兵は訓練されていなかったらしい)こと。

 

さて、イギリス史で面白い人物No1はヘンリー八世だ。

歴史の教科書的に記述するとこんな感じ。

イギリス・チューダー朝の王。16世紀前半に絶対王政を強化し、ローマ教会と対立してイギリスの宗教改革を断行した。

 イギリスの絶対主義の時代、テューダー王朝の第2代の国王(在位1509~1547年)として絶対王政を確立するとともに、ローマ教皇パウルス3世と離婚問題から対立して破門され、イギリス宗教改革を断行した。また、イングランドのみでなくウェールズ、スコットランド、アイルランドの統治権も行使し、イギリスを一つの主権国家としての統合を進めた。また宗教改革を議会との協調で進めるなど、絶対王政ではあるが議会との概ね良好な関係を保った。それによって当時ヨーロッパの弱小国に過ぎなかったイギリスが後の大国に発展する前提を作ったと言うことができる。生涯6度の結婚をしたが、男子後継者はエドワード6世だけで、しかも彼も若くして死去したためヘンリの娘メアリ1世が王位を継承、メアリの時のカトリックへの反動などでテューダー朝は一時混乱したが、次のその妹エリザベス1世の時、ヘンリ8世の作り上げた国教会体制が完成することとなる。

(世界史の窓 ヘンリ8世 より)

 

「それによって当時ヨーロッパの弱小国に過ぎなかったイギリスが後の大国に発展する前提を作ったと言うことができる。」と言うあたりで、優秀な王様だったと感じるが、それにしたって「ローマ教皇パウルス3世と離婚問題から対立して破門され、イギリス宗教改革を断行した。」とか「生涯6度の結婚をした」あたり、ヤバイ感じがする王様だ。

 

この本の記述ではこんな感じだ。

ヘンリーは亡くなった兄さんの奥さんと結婚したんだよね。スペイン娘のキャサリンとさ。厄介なことにヘンリーのほうがこの女、ちょっとおかしいんじゃないかと思い始めたんだ。五人も子供産んだのに、全部女の子で、(中略)息子欲しさのあまり(アンという女官も欲しかったんだ)、彼、この結婚は無効だと申し立てることに決めたの。やってくれるじゃないかヘンリー。(中略)ところが教皇の方はキャサリンの親父のスペイン王のいいなり、うんと言うわけはない。そこでヘンリー、生意気にも教皇に向かって、もうこれまでと押しのけ、自分が教会の親玉になってしまった。

当時、宗教的に離婚は認められていなかったが、結婚自体が無効と認定されたときは、離婚できた。だからヘンリー八世は結婚が無効だと教皇に申し立てた。しかし、教皇はスペイン王と仲が良くて、ヘンリーの妻のキャサリンはスペイン王の娘だったので、無効申し立てが認められなかった。そこで、教皇と縁を切って新たな宗教を作った、それがイギリス国教会。そして、キャサリンと離婚した後、女官のアンと結婚。女官か、、。

 

 歴史は面白い。この本は人間臭いところをしっかり書いていて一層面白い。最初はざっと眺めて、面白いところだけゆっくり読むのがお勧め。