kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



科学技術は、社会を豊かにしてはいないかもね

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 経済学者ダニエル・コーエンの話は、テクノロジーの発展が経済成長につながらないのは何故か、と考えるきっかけになる。

 

 私はおじさんである、インターネットの普及前を知っている。デジタルネイティブ、今風に言えばZ世代、には申し訳ないが少し昔話をしよう。インターネットが無かった頃、スマホはなく、LINE、アマゾン、NETFLIXもない時代だった。それがつい40年ほど前だ。今や社会は激変し、猛烈に便利になった。

 それなのに、日本のGDPは思うように伸びていない。科学・技術の発達が社会を豊かにしたのはずっとずっと昔のコロンブスアメリカ大陸発見から昭和の頃までの話だ。かつては科学技術立国を目指した日本も、いまはその看板を下ろし資産運用立国を目指している。

 インターネットが始まり普及していく様子を見ていた僕は、これが世界を変えると信じていた。実際世界は変わった。けれど、豊かになっていかないのは何故か不可解に思っていた。技術によって生産性は上がっている筈なのに豊かにならないとは合点がいかない。

 

技術革新で生産性が上がって多くの人が職を失っているのに、それに代わる受け皿となる産業がありません。

 「IT技術を活用し、生産効率を上げなければ生き残っていけない」と、2010年代のコンサルがよく言っていた。今風に言えば”DX推進"だ。その実態は、テクノロジーで生産効率を上げたが売り上げは伸びずリストラをする、いや、リストラをし残った人員で仕事を回すためにテクノロジーで生産効率をあげる企業がほとんどだった。

 平成以降、政府は、金融緩和でサプライサイドに資金を注入しようとしたが、デマンドサイドが反応せず経済が停滞したままだった。新しい産業は生まれず、職を失った人・新規大卒性は待遇の良い職に就くことが難しくなった。

 面白いのは、ダニエル・コーエンが日本の話としてではなく、世界の話として上のように述べていることだ。世界は、人口増加分を差し引けば豊かになっていない。

 

 科学・技術の発展は生産効率を上げ続けてきたが、平成以降それは社会を豊かにしてこなかった。これは科学の限界なのか、経済システムのせいなのか、それとも他の何かのせいなのだろうか。これ以上豊かにする必要はないのかもしれないけれど。