池上彰氏の本で、分かり易く説明するコツを理解するためにお勧めの本として挙げられていたのが、本書である。
ブルーバックスと言えば、科学的に解説する本だと思っている。そのブルーバックスが、『「分かりやすい」文章の技術』をどう解説するのか興味津々であった。
さまざまな文章術の本が持つバラバラな目標(文章作法、説得技術、分かりやすさ、論理的な表現など)を「目的を達成する文章」という統一した目標に集約したかったからです。
文章術の本はたくさんある。しかし、分かり易い文章を書いて、それでどうしたいのかという所まで掘り下げた本は無い。例えば、ブログを考えると、ライフログとして自分の記録を残すのであれば分かり易い文章を書く必要すらない。一方、ブログを通じて何か自分の主張をするのだとすれば、その目的は、主張に同意してもらう、あるいは主張に対する意見をもらうことになろう。だとすれば、まずはその主張を理解してもらう必要があり、分かり易い文章を書く必要がある。
実務文は二種類に分けられます。それは「同意を求める文章」と「同意を求めない文章」です
新聞記事のような事実を述べるだけの文章や、ライフログは「同意を求めない文章」です。「同意を求める文章」を書く場合には、二つの要素が必要である。それは、「主張」と「根拠」の二つである。
主張とは、相手に同意してもらいたい内容である。お腹が空いた、眠い、といったものは主張ではなく、感想である。主張は、自分のパーソナル空間の外側にある事物を対象とする。
主張するには、その根拠を示すことが必要だ。例えば、「昨日は為替が円高になったので輸出向け製品の生産高を落とした方が良い」を考える。主張は、「輸出向け製品の生産高を落とした方が良い」である。その根拠として述べられているのは「昨日は為替が円高になった」である。これは根拠としてかなり弱い。円高になれば輸出には不利となる。しかし、生産品が輸出される未来の時期と、昨日の円高との関係が述べられていないためである。もっと論理的に書くならば、「ここのところ円高基調である。為替がこのままのペースで円高に推移するとすれば、輸出向け製品の生産高を落とした方が良い。」とすべきであろう。
本書は、こういった論理的に文章を書き、それを分かり易く表現するための技法が記されている。
「分かりやすい文章」の技術―読み手を説得する18のテクニック (ブルーバックス)
- 作者: 藤沢晃治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/05/21
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「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス)
- 作者: 藤沢晃治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/03/19
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