kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



東大生が書いたやさしい経済の教科書

 「東大生が書いたやさしい経済の教科書」を読んだ。タイトルにたがわず優しく経済のことが書かれている。ニュースや新聞を通して分かっているようで分かっていないことがすっきりする。
 私の心に引っかかったのは、

  • デフレが何故いけないか?
    • デフレとは、貨幣の価値が高くなることを意味する
    • 企業の経営者にとって、従業員の給与が増えたことと同じ(逆に従業員の立場で言えば、給料が増えて嬉しい)
    • 経営者視点では、従業員の給与を少し削って貨幣価値上昇に対策を打ちたくなるが、給与を下げることには大変な抵抗があり(労働組合も反発する)、給与削減ができない。
    • そこで、経営者は、給与削減の代わりに従業員解雇で貨幣価値上昇に対応する

ここで、重要な気付きは、従業員皆の給与を少し下げることよりも、少数の従業員を解雇する方が抵抗が少ない、ということ。

本書の中では、

損失は一部の人に集中するが、利益は広く薄まってしまう

と書かれていることと、同じである。

経済は日々状況が変化するので、それに対応するため何かを変えて対処しなければいけない。この対処は、損失を被る人と利益を得る人の両方を生む。そのとき、その損失は一部の人に集中し破壊的なものとなり、他方利益は薄まったものとなるため誰にも実感できないものとなる。しかし、対処を怠れば、経済状況の変化に社会が最適化できず、社会全体の利益が損なわれる。マクロな視点で経済を見るとこういうゲームを行っていることになろう。

最適化の過程で、損失が一部の人に集中し破壊的なものとなる真因が、「従業員皆の給与を少し下げることよりも、少数の従業員を解雇する方が抵抗が少ない」であるというのはなんとも皮肉なものである。

東大生が書いたやさしい経済の教科書

東大生が書いたやさしい経済の教科書