kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



そろそろ実証実験はやめたら?

 ICTの研究分野に行き詰まりがあると思いませんか?ユーザとしてのICTではなく、研究者としてICTを見た場合の話です。

 一番行き詰まりを感じるのは、学会です。企業からの学会発表件数が非常に落ち込んでいます。なぜ、企業が学会発表しないかというと、産業的に役に立つ研究分野が非常に減っているからです。この背景には、インテルとグーグルの出現があると思っています。インテルがCPUの高速化を推進していて、これまでアルゴリズムに工夫が必要であった例えば言語認識なども力づくでできるようになっています。また、グーグルの出現で知識・情報処理の分野の研究は、つまらないものになったと感じます。

 こんな状態で*1、研究者が産業的な成果をどこでアピールするかというと、実証実験をやるというのが定番になってきています。ところが実証実験をやることが目的化していて、実証実験を何のためにやるのかはっきりしないものが非常に多い。

 例えば、スマートハウスの実証実験を例にとると、
http://www.daiwahouse.co.jp/release/20100219101523.html

そしてこのたび、家庭内で使用する家電製品や住宅設備機器の制御および運転状況・使用履歴などの情報を収集するための共通ソフトウェア(※3)を新たに開発し、その評価を目的に実証実験を行うことになりました。 

このように、実証実験の目的は開発したソフトウエアの評価となっています。ソフトウエアの評価って、家を建てて実験しなくても分かるものですし、家を建てて実験するとかえって評価のためのユースケースが減って評価が粗くなるのではと思ったりします。

最近、この実証実験の中間報告が行われました。
http://wbb.forum.impressrd.jp/feature/20101027/822
タイトルから訴求ポイントは「マルチベンダー」による相互接続であるようです。相互接続の確認ならば、スマートハウスを建てなくても良いのにっと余計に感じたりもします。

このように、実証実験のために実証実験するのはそろそろやめて、実証実験で得られた結果はもっと安いコストで得られないのか、振り返った方が良いと思う。でないと、事業仕分けされているお役所仕事みたいな研究活動しかできなくなる。
 

*1:研究成果を他人が使わない、研究成果を使った製品が出ない状態