kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



脱原発の論点整理

 原子力発電所をどうしようかという話は、いまだコンセンサスが取れていない。ネット上の議論を見ていると、大体論点が決まっているのでまとめてみる。また、脱原発と一緒に議論されがちな発送電分離は、別の問題なので発送電分離については以前のエントリを読んで欲しい。
http://d.hatena.ne.jp/kota2009/20110516/1305513005

 まず最初に以下のおとぎ話を読んで想像力を高めて欲しい。

電気は便利だ。インターネットや携帯はいつでも使える。体の弱い祖父母は空調の効いた清潔な部屋でのんびり暮している。子供たちは、すくすく育っている。おっと、そろそろボクは仕事に出かけないと。

安全は大切だ。電話会社への電力供給が制限され、インターネットは遅いし、携帯電話は殆ど圏外だ。祖父母は体が弱いが、電気代が値上げされたのでエアコンを使わずに、暑い中エアコンなしで過ごしている。脱水症状が心配だ。また、ゴミの回収が週に2回から、月2回に減ったので家の中にゴミがたまって少し匂う。新鮮な野菜が手に入らなくて子供たちにサラダを食べさせていない。電気不足のため、企業は工場を海外移転してしまい、ボクも先月リストラにあい、ずっと家にいる。

原子力発電所は安全か?

 「安全神話の崩壊」なんていう言葉を使って、「原子力発電所は安全ではない」というメッセージを送る輩が多い。原子力発電所は、安全かそれとも安全でないかという議論は不毛である。議論すべきは、原子力発電所どれくらい安全か?についてである。ただし、ひとたび原発事故が起これば、国難レベルの災害になる。

原発をとめることができるか?

節電でしのげるか?

 現在、東電管内は、企業が大幅な節電をすることでなんとか電力需給を保っている。ただし、電力の安定供給の道筋が見えないと、新たに設備投資を東電管内にすることはないだろう。そのため、東電管内あるいは日本の失業率は増加する。どれくらいの失業率まで節電をするか?を議論すべきだろう。

代替エネルギーはあるか?

地球温暖化はどうする?
 いまは、火力発電をフル稼働させている。そうなると、地球温暖化が加速する。将来の子供に住みにくい地球を残すことを良しとするか?

自然エネルギーは使えるのか?
 太陽、風、地熱、波など自然エネルギーは様々あるが、どれも今ひとつパッとしないのが本当のところであろう。将来の技術革新を予想し、どれくらいの量を発電できて、それにはいくらのコストがかかるか、まずは定量的に合意するところから議論が必要である。ただし、自然エネルギーはその立地に強く依存するため、諸外国の例を挙げて議論することは無意味である。

まとめ

 脱原発の議論は、原発あり・原発なしの2択の議論になっている点で、議論が幼稚である。また、脱原発論点は、つきつめれば、どれだけ電力を使いたいか、それをどのエネルギーでまかなうかの二点である。また、電力はインフラであるが故、議論の影響範囲は広く、安全性、電気代、便利さ、給料(収入、失業率等)、教育、自治体サービス(ゴミの収集、年金等)様々に影響する。
 どのエネルギーでまかなうにせよ、最終的には国民負担になるため、各自の頭でしっかり考えることが大切である。