kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



二元論に注意しよう

 詭弁の手法に二元論に持ち込むというのがある(二択の罠)。私のこと好き?それとも嫌い?っと迫る手法だ。好きじゃないと言えば、じゃぁ嫌いなのねと極端なことを言い出して、困るやつだ。好きと嫌いの間にちょっと好きとかまぁまぁ好きとか無限に選択肢があり得るのに、好きか嫌いかの二つしか認めないという態度である。
 「さよなら電力足りる論」を読んで思うのは、どうして電力は足りるか?それとも足りないか? の二択で考えるんだろうかと。分かりやすいので二択の罠にはまりがちなんだけど、世の中ほとんどが、黒か白ではなくグレーであることぐらい皆わかっている筈なのに。
 関西電力圏内の電気が足りるか足りないかなんて、人間がどれだけ我慢するかの我慢量に依存する。10の我慢をすれば足りるし9の我慢では足りない。そういうことだと思う。原発が必要かという議論も、必要か?不要か?という二択で考えるから答えが出ない。電気料金や節電を含めてどれだけ我慢するか?二酸化炭素による地球温暖化の問題をどれだけ知らない振りするか? そういう定量的な話だ。以前、原発稼働反対のデモのプラカードに「経済より命」と書いているのを見かけましたが、これも経済をとるか?命を取るか?という二択の議論。経済なしに命を取れないのが現代社会であるから、両方取るという選択しかないのですよ。
 ついでなので、原発について議論を整理してみると、

  • 日本はどれくらいの電力使用量を目指すか?
  • その電力のどの割合を経済活動に充てるか?、社会福祉にどれだけの電力を充てるか?
  • 電力使用量が経済活動の量を制限するほど削減すると、税収が減る。その税金のどの割合を社会福祉・年金・教育に使うか? 地方への交付金にいくら使うか?
  • 最初の電力使用量をどの発電方法で賄うか? 水力発電は自然破壊を伴い、火力発電は二酸化炭素を出す、原子力発電所は大災害時のリスクが大きい。
  • あるいは電力を外国から買うという方法もある*1。その際には、おそらく韓国・中国から電気を買うことになろう。その場合は、例えば領土問題がこじれた際には電力供給をネタに日本は妥協をせまられるだろう(ロシアがかつてヨーロッパへのガスパイプラインを閉じて、真冬のヨーロッパの暖房を止めた件を思い出そう)。

 電力問題はとても大切なので、YesかNoかの二元論で思考停止にならず良く議論する必要がある。

*1:脱原発を採択したドイツはフランスから電気を買っている