kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



考え方のサンプルとしての『かならずわかる!「○○主義」辞典』

 本書は、考え方のサンプル集である。
 世の中には様々な主義(考え方)がある。一つの主義が正しいわけでもなく、複数の主義が並立する。では、その主義たちの関係は? 違いは? という観点から本書『かならずわかる!「○○主義」辞典』は、情報を集め整理している。
 一見複雑なものでも、実は簡単ないくつかの組み合わせであったり変形であったりする。それ故サンプル集(例えば、デザインパターン、料理のレシピ集、ダンスのステップ、空手の型など)を知っておくことは有用である。また、サンプル集を眺めることで全体を俯瞰することができる。全体を知っておくことで部分の大きさに気づくことができる。
 内容をいくつか紹介すると、民主主義とは民衆に権力を預ける政治システムである、と説明されている。また別の個所で、資本主義は負け犬には目を向けない(敗者にに興味を持たない)システムである、と説明されている。日本は、民主主義と資本主義を採用している国家であることを考えれば、TVで報道される様々な問題がなるほどと合点がいく。つまり、資本主義は敗者切り捨てのシステムであるため、敗者の不満が蓄積する。また、
民主主義はとにかく大勢の支持をえればOKであるため、巧みな弁舌を駆使する口だけ政治になりがちである。そして、敗者救済という口だけ政治が行われているのが日本だという解釈が可能だ。一方で、民主主義と資本主義の両方を導入している国は日本以外にも多数あるはずであるから、日本のように成熟した国であれば同様の口だけ政治が行われているに違いないと想像できる。
 また、11章の「どのように人は人を支配・差別するのか?」の部分は、世界史の本と一緒に眺めると興味深い。帝国主義がグローバル経済を推進するシステムであることを、この本で初めて知った。