kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



大学と企業の共同研究について考えてみた

※本ページにはアフィリエイトが含まれています。

 オープンイノベーションという言葉がありました。技術の自社開発にこだわらず外から技術を集めて、すごいことをやるのが良いという意味です。日本では、もっぱら大学の研究成果を企業で活用という意味で使われることが多いようです。最近オープンイノベーションという言葉が流行っていないことから、産学連携というのは、うまくいかないのでしょうね。
 企業の立場で産学連携を考えてみます。
 研究成果が出ていて特許野権利も撮れている内容を大学から売り込みにきて頂ける形が理想です。特許の権利化はできていなくても良いですが、研究成果が出ている状態での売り込みであれば、採用・非採用が判断できます。市場規模や製品シェアも予想できるのでその研究成果にいくら払えるか見積もることもできます。例えば、ガソリンエンジンにおいてシリンダーに送ったガソリンを100%燃やすことができるシリンダ形状をみつけましたと成果を自動車メーカに持って行けば、それによる燃費向上による売り上げ増と、そのシリンダを実現するための設備投資の支出とを概算して、その研究成果の価値を見積もることができます。
 一方、研究成果が無い状態で大学から一緒に共同研究しましょうと持ちかけられると、困ります。研究成果はこれから出るのでその可能性に投資して欲しいという気持ちは分かるのですが、その手の未来への投資は既に行っている場合が多いですね。例えば、トヨタは中国の精華大学と、NECは米国スタンフォード大学と、ツムラケンブリッジ大学と共同研究をしています。このように企業は、既に未来投資を行っているので、新たに別の大学から共同研究しませんかとオファーを受けても、よっぽど実績あるいは条件が良くない限りはお受けできないのです。
 特に、M2Mの研究をしていますとか、クラウド&ビックデータ処理の研究をしていますといった具体的でないオファーは困ります。M2Mという言葉の表す範囲は非常に広いため、その一部の技術ではユーザの利益につながりません。例えば、センサーネットワークで消費電力を削減する経路制御の研究などは難しいでしょう。経路制御アルゴリズムよりも半導体製造の技術の方が消費電力に与えるインパクトが大きいためです。
 産学連携を進めるには、まずしっかりと研究成果を出し学会で発表することが大切です。このとき発表する学会は、natureとかIEEEのTransactionレベルが望ましいでしょう。そして、学会の場で企業の出席者と仲良くなってその企業の技術ニーズを把握するのが良いでしょう。
 
 このエントリはあくまで企業視点にたっておりますので、大学関係者が読むと気に障るかもしれません。それでも、敢えて書いたのはアカデミアとインダストリの相互理解が少しでも進むといいなぁと思うためです。