何故、本を読むのか? 本を通して世の中を知る。そして、未経験の出来事に対しても正しい道を選択する手がかりを得る。これが本を読む効果だ。
「世界はシステムで動く―― いま起きていることの本質をつかむ考え方」(ドネラ・H・メドウズ(Donella H. Meadows))は、世の中の動きを理解するスキルを得るために、読んでおきたい本の一冊だ。著者のドネラ・H・メドウズ(Donella H. Meadows)は、あまりに有名なレポートwikipedia:成長の限界の著者の一人。
本書ではシステム思考を紹介している。
システムとは、複数の要素が存在し、それら要素間が影響を及ぼしあっている。人は、要素を理解するのは得意だが、要素間のつながりを理解することは苦手だ。そのため、システムの挙動を予測できない。
システムの挙動が予測できない理由は、
- 要素間のフィードバックに時間的な遅れがあること
- フィードバックの効果が非線形であること
- システムの境界を決めることができず、システムの外だと思っていた要素からの影響を受けること
例えば、ある会社の株価が上がったことを考えてみよう。ファイナンスの専門家は、その会社の良い業績が発表されたからだと言うだろう。これは株価という要素の現象を見て、その理由を説明しているだけだ。これでは、次に株価がどうなるかを予測することはできない。
著者は、システムの振る舞いの根底にあるモデルを理解し、未来を予測するためには、
- 現象ではなく、時系列的な振る舞いに注目する
- その振る舞いは、何に影響されているか探す
- その影響を及ぼしているものは、どんなフィードバックを与えているか考える
ことを勧めている。
システムの振る舞いは本質的に複雑である。数年以上遅れたフィードバックがあり、その影響が指数関数的なものであるとき、そのシステムの振る舞いを予測できる人間はいない。そんなシステムに対応するには、システムの挙動を観測し続けること、思わぬ挙動に対しても対応し続けること、それだけである。著者はこれをシステムとダンスを踊ると表現している。
世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方
- 作者: ドネラ・H・メドウズ,Donella H. Meadows,小田理一郎,枝廣淳子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/01/24
- メディア: 単行本
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