kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ギリシャ問題って結構詰んでいる

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 ギリシャの借金問題に、世界が困っている。みんな困っている。

何が問題なのか?

 そもそも何が問題かというと、ギリシャが借金を返せないことだ。
 ギリシャという国にお金を貸している組織は、2つだ。一つ目はIMF(wikipedia:国際通貨基金)。お金に困っている国にお金を貸す世界レベルの団体だ。日本の税金もIMFを通じてギリシャに貸し付けられている。二つ目はECB(wikipedia:欧州中央銀行)。お金に困っているヨーロッパの国に、お金を貸す団体だ。IMFとの違いは、IMFが世界レベルであるのに対して、ECBはヨーロッパ内の国に対してただけお金を貸すことだ。
 ギリシャは、これらIMFとECBから借りたお金を返せなくなっている。これが問題。
 日本で個人が借金をするときに、担保が必要になる。つまり、お金を返せなくなったとき、担保を差し押さえて借金の返済に充てる仕組みだ。
 ところが、国の借金には担保が無い場合が多い。ギリシャの借金も担保がなく、お金を貸した側は貸し損になるわけだ。

ギリシャは借金を踏み倒せば、いいんじゃない?

 担保が無いんだから、ギリシャは借金を踏み倒せばいい。話は、それほど単純ではない。
 ギリシャが借金を踏み倒すと、それ以降、だれもギリシャにお金を貸してくれなくなる。これがギリシャが借金を踏み倒せない理由だ。
 ギリシャは、例えば2014年12月には112億ユーロ(1.5兆円)をECBから借りている(「ギリシャの銀行、12月にECBからの借り入れが大幅増加」(ロイター))。こういう日々の借金ができなくなると、困るわけだ。

なぜ世界はギリシャに冷たいか?

 ドイツをはじめとするユーロの他の国は、ギリシャに緊縮政策を求めている。つまり、節約してお金を貯めて欲しいとギリシャにお願いしているわけだ。これに対して、ギリシャは求められるほどの節約はしたくないと言っている。
 ギリシャはどこまで節約生活をすべきか? これがいまのギリシャ問題の焦点だ。
 NHKクローズアップ現代によれば、ギリシャ国民の年金は1か月50万円給付されていたり、国民の5人の1人が公務員となって国から給与としてもらっていたりしたそうだ。つまり、借金をして国民に金を渡していたということだ。
 こんな実態を知ったら、お金を貸している方も、「ギリシャ節約生活しろよ」と言いたくなるのももっともだ。

なぜ世界はギリシャに暖かいのか?

 上で書いたように、「ギリシャ節約生活しろよ」とユーロ各国は思っている。それに対して、ギリシャは「無理」と言っているわけだ。それなら、お金の貸し手の各国はギリシャを見捨ててもよさそうだ。それなのに、何故ギリシャの「金は返せない」「節約生活はイヤ」に付き合っているのだろうか?
 ヨーロッパ各国は、ユーロと言う共同体を作った。この共同体の枠組みが壊れることを恐れている。アメリカや中国に対抗するために、ユーロという共同体を作った。ギリシャをいじめすぎて、ギリシャがユーロから抜けると、ユーロ共同体壊れて、アメリカや中国への対抗力が弱くなることを心配している。
 言ってしまえば、学生が仲良しグループを作っているようなものだ。グループ内に問題児がいて、いじめていいる。一方、問題児をいじめすぎて、問題児がグループを抜けて、グループの力が弱くなるのを心配する。そんな構図だ。

まとめ

 ギリシャ問題とは、グループ内の問題児をどうするかと言う問題だ。
 貸した金を返さない問題児ギリシャに対して、節約生活を求めるユーロ各国。それに対して、「無理」と開き直るギリシャ。 その問題児をどこまでいじめて良いか力加減を探るユーロ各国。そういう問題だ。
 問題が起きた時、相手が開き直ったときほど、問題解決が難しいものはない。そういう意味で、ギリシャ問題は結構詰んでいる。

その後

2015年7月6日

 EUなどから要求されている緊縮財政策を受け入れるか否かを、ギリシャ国民投票にかけた。その結果は、ノー。緊縮財政策をギリシャ国民は拒否した。
<ギリシャ>チプラス首相が勝利宣言 反対派、大きくリード」(ヤフーニュース)

欧州連合(EU)などから金融支援の条件として要求されている財政再建策への賛否を問うギリシャ国民投票で、同国のチプラス首相は5日夜(日本時間6日朝)、「ギリシャは歴史的なページを開いた」と述べ、反対派の勝利を宣言した。

 借金が返せない時に節約は嫌だというギリシャの主張は日本人の感覚からすると、ちょっと理解できません。面白いものだ。
 
 今後、ギリシャがどう進むかについて考えてみる。問題の構図は以下だ。

  • EU側:借金返せ、返せないなら節約生活をしろ
  • ギリシャ側:借金は返せない、節約生活はイヤだ

また、ギリシャは新たな借金失くしては国がやっていけない状況だ。

 EU側がギリシャに追加融資する額・利息などの条件と、ギリシャがそれを返済できるという根拠づくりとを、どう折り合いをつけるかという点での話し合いになる。
 しかし、もともとギリシャが負債を隠していたことが問題の発端であることを思うと、ギリシャが借金を返済できるといくら言ってもそれを信じさせるのは難しい。 このどうやって借金を返せますとギリシャが言うかが、ポイントだ。

2015年7月11日

 ギリシャが財政改革案をEU側に提出した。その財政改革案は、EU側が求めていた緊縮財政案とほぼ同じでした。こうなってくると、ギリシャEU側の論点が分かりづらく、各種メディアでもそもそも論点が何なのか報じられていない。
 もともとEU側が緊縮財政を求めた理由は、ギリシャが借金返済をできないためその返済条件を緩める(返済日を遅らせるとか、利率と下げるとか)ための要求でした。それに対して、今回ギリシャは財政改革案としてEU側の要求を呑む代わりに、返済条件緩和に加えて追加借金を求めた。
 日常会話に例えると

  • EU側:借金返せ、返せないなら、少し待ってやるから節約生活をしろ
  • ギリシャ:少し待ってくれるの? 節約生活するから借金返済待って、ついでにお金をもっと貸して

 まるで、ダメな男が女に金をせびるような態度だ。こういうとき”本当に返せるの?”、”信用できないなぁ”と言いたくなるのが普通の態度だろう。ドイツのメルケル首相も以下のように言っている。

ドイツのメルケル首相は「ギリシャの経済的状況、さらにこの数カ月での悪化を考慮しつつ、信用と信頼性という面で失われたものを考えると、事態は極めて厳しい」と記者団に述べた。

ギリシャに72時間猶予、信頼回復か離脱か欧州は最終決着迫る」(Bloomberg)