長く文章を書いていると、良くも悪くも自分なりのスタイルができてきます。「文章は接続詞で決まる」(石黒圭 著)は、自分の文章スタイルを見直すきっかけを与えてくれます。文章の論理構造は、接続詞で決まります。その接続詞を見直すことで、文章の論理構造を見直すことができるのです。
本書では、接続詞を4つのタイプ、「論理の接続詞」・「整理の接続詞」・「理解の接続詞」・「展開の接続詞」に分け、さらに、これらを10種類に詳細化しています。
- 「論理の接続詞」
- 「順接の接続詞」
- 「逆説の接続詞」
- 「整理の接続詞」
- 「並列の接続詞」
- 「対比の接続詞」
- 「列挙の接続詞」
- 「理解の接続詞」
- 「換言の接続詞」
- 「例示の接続詞」
- 「補足の接続詞」
- 「展開の接続詞」
- 「転換の接続詞」
- 「結論の接続詞」
本書を読んだ感想を記します。
接続詞の中で「論理の接続詞」が、なんといっても重要です。文章で何かを他人に伝えるためには、1文、1文を論理的に並べていく必要があるためです。例えば、起承転結の構造をした文章は、次のような接続詞でつながります。
(起)〜〜
そして:「順接の接続詞」(承)〜〜
ところが:「逆説の接続詞」(転)〜〜
それで:「順接の接続詞」(結)〜〜
本書を読むと、他人の文章を読む際にも、接続詞の使い方を意識するようになります。例えば、日経新聞を読むと、接続詞が殆ど使われていないことに気づく。これは、順接の論理で文を配置しており、さらに論理の飛躍が少ないため「順接の接続詞」を省いても読者が論理についていけるためでしょう。
接続詞を多用している文章は、文脈の切り替わりが多く、分かりにくい。以下は、逆説の接続詞が二つ使われており(太字)、分かりづらい文章となっています。
与党が安全運転を心がける中で議論を盛り上げるには野党のよほどの踏ん張りが必要だが、心もとない。民主党と維新の党は昨年末に衆院で統一会派を組んだ。だが、参院選までに合流してひとつの党になるかどうかは未定だ。対等合併か吸収合併かで話し合いがつかないからだ。
(日経新聞 2016年1月4日(月)社説より、太字は後付)
まとめ
接続詞を意識して文章を書くと、文章の論理構造を意識できます。接続詞の役割を知り、適切に接続詞を使うことで、狙った文章を書けるようになれそうです。
- 作者: 石黒圭
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/12/13
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る