kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



同一労働同一賃金を実現すると、若者の新卒採用が減少する

 広告代理店 電通の過労死事件で、政府の長時間労働規制が加速しました。どうやら、残業”年720時間”を上限とすることになりそうです。2ヶ月平均では80時間残業を超えてもいけない(「残業上限、月平均60時間=繁忙期は100時間−政府調整」(jiji.com))。今後、細かい修正(80時間を70時間にする等)を別にすれば、あとはインターバル規制(退社してから翌日出社するまでの最短時間の規制)を入れいるか、入れないかくらいが議論点でしょう。
 安倍首相の推進する”働き方改革”は、二つの柱があります。(1)長時間労働規制と(2)同一労働同一賃金の実現。前者はほぼ決まったため、残りは”同一労働同一賃金の実現”になります。
 ”同一労働同一賃金の実現”の議論は、ニュース等を見ていて分かりづらいものがあります。非正規労働の賃金が上がらないという問題を議論していたり、働く女性の賃金が男性と比べて低いと議論していたりします。
 ”同一労働同一賃金”の必要性を訴えるために、まず賃金の異なる事例を挙げるわけですが、そういった事例が多いのだと思います。これらの事例は、3つに大きく分類できると思います。

  • 雇用形態の違いに基づく賃金差(正規社員 vs 非正規社員
  • 性差に基づく賃金差(男性 vs 女性)
  • 年齢に基づく賃金差(若者 vs 中高年者)

これらのどの賃金差に対して、制度設計をしていくのでしょう?
 非正規社員の多くが、若者や女性であることを考えると、正規社員と非正規社員の賃金差の解消を狙うことが成果を作り易そうです(この場合、男性正規社員と女性正規社員の賃金差は解消されないし、年功序列的な賃金差も解消されませんが。)。そうした形で”同一労働同一賃金”の制度ができると、正規社員と非正規社員が同一労働をしなくなる可能性もあります。つまり、正規社員の職務内容と、非正規社員の職務内容を明確に決めるということです。これが極端に進むと、正規社員のしない仕事を非正規社員がするといった、仕事のカーストが出来そうです。
 日本の企業が社員を採用するときは、学生の新卒採用が中心です。中途採用や、非正規社員から正規社員への転向は、少ないです。そして、この中途採用等を急に増やすことは、なかなか難しいでしょう。新卒採用を減らすことになりますので。徐々に、新卒採用を減らすような社会システムに変わっていくのかな。

まとめ

 ”同一労働同一賃金の実現”を進めると、正規社員と非正規社員カーストが出来上がる。カーストを壊す過程で、徐々に、新卒採用の数が減っていく、かもね。