kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



シェア自転車から見える中国イノベーションの豊かさ

  中国で“新大発明”と賞賛されたシェア自転車ですが、儲かっていないようです。調べてみると、儲かっていない会社にも投資するベンチャーキャピタルの存在が透けて見えます。今は儲かっていないが、将来の可能性を信じて投資する金回りの良さが中国にはあるようです。

 

 

  シェアリングビジネスの筆頭と言えば、中国のシェア自転車でしょう。多くの会社がシェアリング自転車事業を行なっており利用者も多い(5千万人以上、これは日本の人口の約半分)、中国では“新大発明”と称されています。日本では、メルカリが“メルチャリ”という名前でサービスを始め、NTTドコモも参入しています。

 

  ところが、中国のシェア自転車事業は不調で、破綻する会社が出始めています。

  中国のシェア自転車の仕組みは、ユーザはまずデポジット(保証金)を払ってサービスを利用可能となります。そして、自転車置き場にあるシェア自転車にスマートフォンをタッチすると、自転車のロックが外れ、使用後はまたスマートフォンをタッチしてロックします。この使用料は大変安く、モバイク社のサービスでは30分17円程度です。しかも、自転車を乗り終えた時は、どこに乗り捨ててもよいという利便性の良さも魅力で、爆発的に普及しました。

  このように多く利用されているシェア自転車の会社が破綻するのは、自転車の利用料だけでは儲からないためです。シェア自転車事業の最大のコストファクタは意外なところにあります。それは自転車の移動にかかる人件費です。

  例えば、東京駅の自転車置き場で自転車を借りた人が、近くの御茶ノ水近くまでそれで移動し、この辺りは坂が多く自転車には不便なのでここで自転車を置いて、電車に乗り換えたとしましょう。こういう人が多いと、東京駅には自転車がなくなり御茶ノ水に自転車が溜まることになり、御茶ノ水の自転車を東京駅まで会社が移動させる必要があります。

  このように必要な場所に自転車がある状態を維持するには、会社が自転車を移動させる必要があり、これにコストがかかります。このコストが大きく、自転車利用料による収入ではまかないきれず、中国の(たぶん)全てのシェア自転車の会社は赤字です。

  つまり、シェア自転車のビジネスモデルはみつかっていないのです。

   こんな状態でも、中国で多くの会社がシェア自転車ビジネスに参入するのは、「利用者の移動データは、何かの役に立つ」と業界が信じているからです。ビッグデータは宝である、というやつです。この程度の理屈で、中国のベンチャーキャピタルは投資をする風潮にあります。

  そうはいっても、投資するベンチャーキャピタルも出せる額に限度がありますので、投資の切れた会社は潰れていきます。言い換えれば、シェア自転車のビジネスモデルを探す、つまり利用者データを使って価値を作る方法を模索し、投資が切れたら潰れるというゲームをしている時期なのです。

 

まとめ

  シェア自転車業界が熱い。儲かるビジネスモデルがない中で、「データは宝」、利用者のデータを金に変える方法を業界をあげて模索しています。

  データを金に変える方法がみつかれば大儲け、その一攫千金を狙って多くのベンチャーキャピタルも投資しています。

  こういった一攫千金の模索に投資資金が出てくる中国って羨ましい。日本だと今のビジネスモデルの模索の段階でベンチャー投資はつかないんでしょうね。イノベーションには博打的な金が必要なのにね。