kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



iPhoneの次はあるか?

 Androidの勢いが止まらない。comScore社の発表によれば、米国2011年1月に出荷されたスマートフォンをOS別にみると、1位がAndroid(31.2%)、2位がRIM(30.4%)、3位がiOS(24.7%)であった。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1103/08/news024.html

 Androidが勢いを増したというよりアップルのiPhone(iOS)の勢いが衰えているというべきなのかもしれない。アップルの製品の歴史を振り返ると、音楽プレーヤiPodの投入を皮切りに、iPod touch, iPhone, iPadと製品ラインナップを広げてきた。iPodの頃は、音楽プレーヤiPodiTunesによる音楽ソフト販売というソフト+ハードによるユーザの囲い込みで、アップルは盤石の体制であった。しかし、mp3プレーヤという製品カテゴリが飽和していくなかで、携帯電話と融合したiPhoneを出したころからアップルの戦略にスキができてきた。

 スキの一つ目は、iPhoneの有力アプリがGoogleの検索であり、Google mapであり、Youtube, twitterというように、アップル以外のアプリに頼るようになったこと。これにより、他の携帯電話メーカーもこれらの有力アプリ(Googleアプリ,twitter, etc)を利用するスマートフォンを提供できるようになってしまった。このため、iPhoneの優位性がなくなってしまった。

 スキの二つ目は、アップルがiPhoneではなくiOSという呼び方を始めたことだ。そのため、iOSの対抗軸としてAndroidGoogleに強く主張されてしまった。この点は、技術ではなくマーケティング戦略としての失敗である。Androidは簡単にいえばLinuxなので、技術的に言えばそれほど新しい特徴があるわけではない。しかし、Googleに、iOS vs Androidという構図を作られ、クローズなiOS vs オープンなAndroidというロジックでプロモーションを展開された。これにより、アップル以外の携帯電話機メーカーがAndroidを軸に結集させてしまった。

 この二つのスキが、Androidの躍進とiPhoneの減速の原因となった。これに対するアップルの対抗策は、6月6日のWWDCで発表されるiOS5iCloudとなろう。これらの詳細はまだ分からないが、iOS 5では新しいUIを訴求してくるに違いない。マイクロソフトWindows Vistaの発表において、Windows Aeroを訴求してきたのと同じ構図だ。もうひとつのiCloudはユーザの音楽データをネット上のサーバにアップロードすることで、事実上端末のストレージ容量が無限大にできることを訴求してきそうだ(写真や動画もアップロードできるようになるかもしれないけど、こちらはflickrとぶつかるのでサービスから外すかもしれない)。

 大きな視点で言えば、mp3プレーヤ市場の飽和時期にiPodからiPhoneに移ったアップルが、スマートフォンの飽和時期にiPadを出したがいまひとつ売れていない*1。そのうちiPhoneが売れなくなるのを見越してアップルとしては何かテコ入れが必要で、それはiPhoneの改良ではなく、新しいカテゴリの製品*2の投入である。

 凡人の私が考えれば、6月6日のWWDCでの発表は、単なるクラウドサービスのiCloud(音楽データとビデオデータの配信(VoD))と、このクラウドサービスの対応とUIを強化したiOS 5となりそうで、新しいカテゴリの製品発表とはなりそうにない。しかしながら、うれしい意味で私の予想を裏切る発表をアップルには期待したい。

*1:タブレットPCという製品カテゴリ自身が売れていないので、iPadがパッとしないのはアップルのせいではないんだけど。

*2:iPodからiPhoneに主力商品を移したように