3月19日のTV番組アメトークは「勉強大好き芸人」。出演は、高学歴芸人あっちゃん(中田敦彦:慶応大学卒、オリエンタルラジオ)。
昔話 桃太郎の感想文がすごい
昔話 桃太郎を使った感想文の書き方が絶妙。以下はあっちゃんの感想文。まずはじっくり読んで欲しい。
この世界には2種類の人間しかいない。
空気の読める人間と、読めない人間だ。
そして時として、空気の読めない人間が想像もつかない成功を収めることがある。
桃太郎は犬、猿、キジを仲間にした。
空気を読まない大胆な選択だ。
なぜ、動物と行くのか。
きっと、村の人からは理解されず馬鹿にされたと思う。
ところが、彼らは最高のチームになり、
鬼を退治し、財宝を村に持ち帰った。
私はこの本を読んで、仲間を集めた。
周囲に人からは笑われた。
なぜ、ダンサーを仲間にするのか。
なぜ、ネタ番組で歌うのか。
しかしついに我々は鬼ヶ島にたどり着いたのだ。
そう、紅白歌合戦である。
そのステージに立った時、まぶしいライトの向こうに彼の姿が見えた気がした。
桃太郎という名のパーフェクトヒューマンの姿が。
上手い! 最高に上手い!
ハーバード流テクニックであっちゃんの文章を分析
この感想文がどうしてこんなに面白いのか。知りたいと思いませんか?
そこで、この文章で使われているテクニックを、ハーバード大学卒業のパックンの本
「ツカむ! 話術 (角川oneテーマ21)」で紹介されているテクニックをもとに分析しよう。
題材選びに見るコモンプレイス活用
アメトークというTV番組において、あっちゃんが話している相手はもちろんTV視聴者である。不特定多数の視聴者から共感を得るため、誰でも知っているお話である桃太郎を使うというテクニック”コモンプレイス”が使われている。
視聴者が共通して認識している話を題材にしたことで、面白い話に仕上がっている。
ロゴスのテクニック 簡潔に言い切る
「この世界には2種類の人間しかいない。」、「桃太郎は犬、猿、キジを仲間にした。」、「彼らは最高のチームになり」など、全てを簡潔に言い切っている。簡潔に言い切ることで、インパクトを出すロゴスのテクニックが使われている。
ロゴスのテクニック 反復を使う
「理解されず」・「馬鹿にされた」、「なぜ、動物と行くのか」・「なぜ、ダンサーを仲間にするのか」・「なぜ、ネタ番組で歌うのか」など、似た言葉を繰り返している。反復を使うことで文章にリズムが生まれ、インパクトを生んでいる。
ロゴスのテクニック 常識、固定観念をひっくり返す
「なぜ、動物と行くのか」では、昔話 桃太郎では犬・猿・キジが擬人化されているという常識をひっくり返している。また、「彼らは最高のチームになり」など、昔話では暗黙に使われない”チーム”という言葉を敢えて使うことで、固定観念をひっくり返している。これにより面白さが増している。
ロゴスのテクニック 対比を使う
桃太郎とあっちゃん自身を対比させてストーリを作っている。桃太郎が成功したことと、あっちゃんが紅白歌合戦に出たという成功が対比され、面白さを出している。
ロゴスのテクニック 比喩を使う
「しかしついに我々は鬼ヶ島にたどり着いたのだ。そう、紅白歌合戦である。」は、鬼ヶ島を紅白歌合戦の比喩として使っている。物語の山場であることを、鬼ヶ島と表現することで、強いイメージを聞き手に伝えている。
ロゴスのテクニック ダジャレを使う
「桃太郎という名のパーフェクトヒューマンの姿が」は、ヒーロ桃太郎を完璧だという意味と、あっちゃんの歌「パーフェクトヒューマン」をかけて表現している。
エトスのテクニック 自分の成功をさりげなく自慢
全体を通して、あっちゃんが紅白に出場した歌手であることを自慢しています。それを嫌味にならないように、「空気を読めない」「周囲の人から笑われた」など自分を落とす言葉を多用しています。
誰しも成功者の話を聞いてみたいと思うもの。上の文章で、そういや あっちゃんって紅白に出たんだよなと視聴者は思い出します。そんな成功したあっちゃんだと伝えていることで、視聴者にその話を聞きたいと一層思わせている。
まとめ
慶応大学卒の高学歴芸人あっちゃんの感想文に使われているテクニックを、ハーバード大学卒のパックン流に分析した。
あっちゃんの感想文はたった326文字だけど、様々なテクニックが使われていることが分かる。賢いな、改めて思う。勉強大好きは本当なんだろう。
勉強大好きのあっちゃんが本を出す。その名も「大合格」。興味がある。
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