ピョンチャンオリンピックで高梨沙羅選手が銅メダルを取った。頑張ったね、すごいね。そして高梨沙羅選手の喜びのインタビューもいくつか目にした。その中で、応援してくれるファンの人のためにも、次はもっと頑張りたいと言っている。
「次の北京で今度こそ金メダルを取って、応援してくれる人たちに感謝の気持ちを伝えたい」と決意を述べた。
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このコメントを聞きながら、以前にネットで炎上した「お金を使わない人はファンじゃない」を思い出した。この記事に対して多くの意見がネット溢れ炎上した件だ。
この人のことを殆ど知らないのだが、重い白ことを言う人だと思っていたし、それに対するネットの意見も的外れに思えていた。どうしてしっくりこないのか分からなかった。それがオリンピックを見ながら分かった気がするので、言語化する。
ファンってなんだ?
”ファン”ってなんだ? 意外に答えづらい質問だ。
オリンピックでメダルを取った選手に世間は注目する。これはファンだろうか?世間の一部はファンだと名乗るだろう。”にわかファン”である。
また、不倫などなにかやらかした芸能人を追う芸能レポータを考えよう。レポータは、「心配しているファンのために何か一言を!」とマイクを向ける。このときの”ファン”とはあなたの不倫に興味のある人という意味だ。
こうして考えると、誰かを純粋に応援するホワイトなファンと、注目人物に関心を向ける野次馬なブラックファンの二通りあることが分かる。
お金を払う人はファンか?
”ファン”という言葉の定義が難しいので、なるべくこの言葉を使わないことにする。
「お金を払わない人はファンじゃない」とするなら、お金を払う人は何だ?それは”お客様””である。”ファン”という曖昧ワードの代わりに”お客様”を使うと、はあちゅうさんの主張は、かなり明確だ。お客様とそうでない人は彼女にとって別だと言っている。働いている者にとって、お客様とそうでないもの、カスタマとノンカスタマは別だという主張は極めて自然だ。
世の中には2種類の人間がいる。お客様かそうでないものかだ。この単純な彼女の割り切りに清々しさすら感じる。しかし、これはホワイトファンすらも真っ二つにぶった切る乱暴な分割だ。この乱暴さが炎上を招いたように思う。
当たり前の主張をなぜしたのか?
当たり前のことをわざわざ言う必要はない。それなのに何故言ったのか?
ブラックなファンってめんどくさいんだろう、きっと。
そもそも、好きという感情は、ファンと対象人物との一体化を招きやすい。一体化したファン心理において、少しのズレも許容されないものに映るだろう。さらに、ファンだから、つまり応援しているから、相手が自分を特別視して欲しいという甘えもありそうだ。そして、離れていくファンの一部は、「好きだったのに」、「昔は良かったのに」、「もう終わり」など捨て台詞を残していく。
誕生日のフライトを記念すべきものにするため、元々「大好きだった」というANAを選んだという。投稿では「ANAの国際線ファーストクラスで誕生日とか最高!って予約を入れた時からワクワクしてました」とも書いていた。
(中略)
「プレゼントが欲しいとか全然思いません。(略)一言でいいんです。その一言でどれだけ素敵な記念に残るバースデイフライトになることでしょう!!!期待してた俺がバカでしたね。。。」
めんどくさいでしょう?こういうの。わざわざファンなのにって前置きをしてけなしてくるんだ。
ブラックファンによるこういっためんどくささが、ネットを通じて直撃してくるのは厳しいだろう。そのストレスで、言わなくてもいい主張をしたのだと推測している。
ファン不要のビジネスモデル
芸能人は、それがホワイトであれブラックであれファンを大事にする。ファンがCDを買わなくても、コンサートに来なくても、彼らはカスタマーズカスタマーであるからだ。芸能人のお客様はCMなどを打つ企業だ。ファンは、企業のお客様だから、大切にすることに利がある。
例えば、お寺の和尚さんは、檀家さんからのお布施で稼ぎを得ているので、キリスト教徒を大事にする必要はない。だから、キリスト教徒の誰かが和尚さんのファンなんですと言ってきても、面倒だと切って捨てても害はない。
収入=ファンの数×支払い割合×平均支払額 である。KPIで考えれば、ファンの数を追わず、平均支払額を追う戦略があってもいい。いわゆるニッチ戦略だ。ネットによりリーチできる人数は莫大だから、ニッチ戦略でもビジネスモデルとして成り立つ可能性があろう。そして、はあちゅうさんがこれを採用している可能性もある。
まとめ
オリンピックで高梨沙羅選手がファンに感謝するコメントを見て、「お金を払わない人はファンじゃない」というはあちゅうさんの主張を思い出した。
カスタマとノンカスタマは違うのだというシンプルで自然な主張は、ホワイトファンをもぶった切り、炎上した。ホワイトファンをぶった切らざるを無いほど、ブラックファンは面倒なのだろう。
ブラックファンに我慢しないためには、ファン不要のビジネスモデルをはあちゅうさんが目指しているのかなとも想像が広がる。