kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



平常心のレッスン(小池龍之介):心が乱れる原因を知り、自由になる練習

この本は、ポジティブシンキングを嘘っぽいと思う人に勧めたい本だ。

 

ポジティブシンキングとは、例えば、、砂漠で迷子になり歩いているとして、持っている水筒には水が半分残っているときに、“「水が半分しか残っていない」と思うのではなく、「水が半分も残っている」と思いなさい”というものだ。あるいは”「雨が降ったら半分水が溜められる」と考えなさい“という変形バージョンもある。要するに、気の持ち方を良い方に変えなさいというものだ。

 

ポジティブシンキングを嘘っぽいと私が思うのは、解決しない問題があるからだ。例えば、死の問題。大きすぎる問題に良い面をみつけるのは難しい。

 

そもそも、平常心を乱されるのはどんな状態だろうか?それは、自分の望まない状況に追い込まれた時だ。例えば、(他人に批判されたくないのに)他人から批判された、(恋人と一緒に居たいのに)恋人にフラれた、(死にたくないのに)重い病気になったなど。自分の望みと現実の不一致に人は平常心を乱す。

 

本書では、以下を書いている。

  • 望みの強さ(執着):欲しがるほど強く執着する、嫌がるほど強く執着する
  • よく執着してしまうパターン:自分に価値があると望むパターン、他人を思い通りに変えたいと思うパターン、生きていたいと思う(生老病死)パターン
  • 平常心を乱さないための練習:良いとか悪いとか判断せずニュートラルに物を見る(目標・目的に縛られて、それに沿う物を良いと判断しない)、今に集中する(将来の不安、過去の不満に縛られない)

 

感想

 とても合理的・科学的なことが書いてある。物事を徹底的に客観的に見て、それに良い悪いの判断をせずあくまでニュートラルな態度を貫く。例えば、皿を割った時に、それを事実として受け止め良い悪いを判断せず、淡々と破片を片付ける。ポジティブシンキングでは、「新しい皿を買うチャンス」などと何か良い面を探すが、それは合理的ではない。また、新しい皿を買う財力がないときにはフラストレーションを余計に溜める。そうではなく、ただ皿が割れたという事実だけをニュートラルにみつめ、破片を片付けるという今の作業に集中するという態度は、合理的で科学的。

  

おまけ

後悔とは、過去の失敗を無かったことにしたいという強い想いだ。そこには、過去は変えられないという当たり前の事実を受け入れられていない態度がある。変えられない過去を手放して、今にできることに気持ちを集中する。こういう合理的な態度が後悔から解放されるコツだ。ただ、後悔に囚われてしまった心が急に楽になるわけではない。それには普段から、今に集中する練習が必要で、本書はそういうことを書いている。

平常心のレッスン (朝日新書)

平常心のレッスン (朝日新書)