読んだ本や映画についてブログを書いていると、これは書評を書いているのだろうか?それとも感想だろうか?迷う時があります。書評と感想文の違いを整理をするために言語化しておきます。
細かいことはともかく作文の書き方を知りたいという人は、最後の「作文のためのテンプレート」と「おまけ」を読んでください。
感想文と書評の違い
感想文とは自分の感想を書いた文章で、書評とは他人に本の紹介をする文章、というのが一般的な定義でしょう*1。この二つが似ているように感じるのは、(1)感想文を書くときに「これは面白い本よ」と本を紹介するニュアンスを含めるのが一般的なこと、(2)書評を書くときに「この本の面白い点はここだ」と自分の感想が入ってしまうためです。つまり、どちらも本の紹介と感想を含んでいて、どちらに重点を置くかで感想文的か書評的かが変わるという程度の問題です。
ただし、他と差別化を図るという視点で考えれば、感想文では自分の感想が他の人の感想と比べてどう違うか(新しい感想なのか)がポイントになります。一方で、書評では、本の紹介が目的になりますから、その本が他のホント比べてどう違うかを書くことがポイントになります。
桃太郎を例に説明
有名な桃太郎を使って例文を書いてみます。
まず、感想文を書く場合、3つの書き方があるでしょう。
- 桃から生まれたところが面白いと思った場合:「桃太郎というお話は、桃から生まれた男の子が世直しをする話です。桃から人間が生まれるという設定が面白いと思いました」
- キジ・犬・サルとチームを組むところが面白いと思った場合:「桃太郎というお話は、キジ・犬・サルと仲間になって世直しをする話です。キジ・犬・サルと仲間になるという設定が面白いと思いました。」
- 鬼退治をするところが面白いと思った場合:「桃太郎というお話は、男の子が鬼退治をする話です。強い鬼を退治するなんてすごいと思いました」
次に書評として書く場合は、他の物語と対比して書くことになるでしょう。例えば、金太郎・一寸法師と比べれば、強い敵と戦う点は共通していますから、桃から生まれた点を特徴として書くことになるでしょう。さらに、なぜ桃から生まれたのかということも書くと物語の紹介に厚みが増します。例えば、「おとぎ話には金太郎・一寸法師などあるが、何と言っても桃太郎は人が桃から生まれるという点が特徴である。桃は中国では不老不死の象徴とされまた日本でも縁起物とされていることから、桃太郎が強く勇敢であることを示唆している」と書ける。
感想文と書評の要素を両方備える文章を書くことも可能で、例えば、以下のような構成で書けます。
- 本の特徴の説明/他の本とどう違うか(書評的)
- 本の特徴について自分はどう感想を持ったか(感想文的)
作文のためのテンプレート
もっと詳細に書けば、以下のようなテンプレートにすることができます。
- 本の説明
- 作者の説明
- 作者の他の本と比べた、その本の特徴
- 他の作者の類似の本と比べた、その本の特徴
- 上記特徴がどういう意味をもつかの説明
- 感想
- 上記特徴について、自分はどういう感想を持ったか
- 上記特徴以外でも、感想があればその感想
おまけ
芸能人のカズレーザーが、次のような桃太郎の感想文を書いていました。「桃太郎は大きくなって鬼退治に出かけ、鬼の財宝を村に持ち帰りました。これは、鬼が貨幣経済を営んでいたことを示唆しており、従来の鬼に対する概念を覆すものである。」 この感想文、他人と違った感想を持つことが、感想文の優劣を決める、ことが分かりますね。