kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



「荒木飛呂彦の漫画術」(荒木飛呂彦)の感想:漫画の新しい楽しみ方も分かる

 

 

 「ジョジョの奇妙な冒険」の作者 荒木飛呂彦が”王道漫画”の描き方を解説した本です。

 この本は、まるでコンサルが書いたように思えるほど、構成が良く練れています。おそらく荒木飛呂彦は、感覚派ではなく理詰めでものを考える人なのだと思えます。王道漫画が備えるべき要件の列挙、そして個々の要因に対する説明と続きます。

 王道漫画に必要なのは

  • キャラクタ設定の巧さ
  • ストーリーの必須条件
  • ぶれない世界観
  • テーマ

の4つ。

 

 例えば、孤独のグルメでは

  • キャラクタは、冴えないビジネスマン
  • ストーリーは、新しい料理屋を訪れその料理を食べること
  • 世界観は、庶民料理のグルメ
  • テーマは、ひとりで食事を楽しむこと

 となっています。

 

 漫画家ではない僕にとっても、この本は、漫画を読むときに役立つ本です。面白い漫画を読んでも、ただ「面白かった」ではもったいない。読んだ漫画を、上の4つの要素に分けて、どう面白かったかを考えれば、他の漫画と比較もできます。

 例えば、異世界転生ものの漫画を読んだときに、「転生もの」とまとめてしまうのはもったいない。転生先として世界観がどう描かれているか、主人公のキャラクタはどう設定されているか、ストーリーは、テーマはと考えていけば、感想の解像度が上がります。例として「転生したらスライムだった件」で考えれば、

  • キャラクタは、スライムで滅茶苦茶強い(この時点でかなり特殊なことが分かります)
  • ストーリーは、仲間を増やし自分の街を大きくしていくこと(街を大きくするという点でも珍しい漫画)
  • 世界観は、昔のヨーロッパ風の田舎に魔物がクラス(ここは平凡)
  • テーマは、多くの仲間を大切にして暮らすこと(仲間の多さが特殊)

こんな感じでしょう。

 こうすると、主人公の魅力ももちろんですが、仲間の多さとその個性が、この漫画を面白くしていると分かります。今までとは違った見方ができて楽しい。

 

まとめ

 ジョジョの作者 荒木飛呂彦が書いた漫画術の本を読みました。王道漫画が備えるべき要素を、キャラクタ・ストーリ・世界観・テーマの4つとして、それぞれについて説明しています。

 漫画を読むときも、この4つに分けてその面白さを考えていくと、楽しい。