日経新聞に池上彰の必修教養講座というシリーズがある。その中でも、「二大政党制いまだ成らず 離合集散の歴史 現代日本を知るために(4)東工大講義録から」が面白い。これを読むと、日本の選挙が何故盛り上がらないのか合点がいく。
ご存知の通り、民主党は一枚岩ではなく党内でも政策に対して様々な意見を有する人が集まっている寄合書体である。そのため、民主党のやろうとしていることが良くわからず、選挙で投票しずらい。一方、自民党も一枚岩でないため、民主党と同じことである。
どういうことかというと、民主党だけでなく自民党も党の中で政策が統一されていない。
消費税の増税法案は民主党と自民党、公明党の3党合意によって成立しました。ところが、自民党は参議院で野田内閣に対する問責決議案に賛成しました。この決議案は野田内閣が消費税の増税に踏み切ったことを批判しています。自民党は消費税の増税に賛成したはずなのに、消費税増税を批判する。どういうことなのか理解に苦しみます。
民主党も自民党も政策の共通項を取ろうと思えば取れる。そのため、民主党と自民党の議論の論点が分からないということが起こります。
実は消費税の増税ばかりでなく、自衛隊の役割も、安保条約も、民主党と自民党では考え方に大差ありません。政策が似ている政党が互いに相手を批判し合っている。不思議な政治の風景です。
要するに、アイデンティティのはっきりしない二つの政党が、互いの似た意見に対して批判している、状態なのです。有権者としては、この二つのどちらかを選べと言われても困ります。
一方、民主党と自民党以外なら大丈夫かというと、第1党として政権を運営する覚悟や責任が無いような気がします。
いまは極小政党になってしまった社民党(社会民主党)は、かつて日本社会党と名乗っていた時代、政権を取ったことがあります。1947年の総選挙の結果でした。
このときの選挙では、日本社会党が143議席、日本自由党が131議席、日本民主党が124議席で、日本社会党が初めて第1党に躍進しました。
(中略)
当時、社会党は第1党に躍進するとは思っておらず、幹部たちは選挙の結果に慌てたという証言があります。
日本の政党は、政策を同じくする人の集団、という訳ではなさそうです。さすが池上さん分かりやすい説明でした。