『人は聞き方が9割』(永松茂久)を読んだ。熟読した。面白かった。
この本は大切なことを3つ書いています。
- コミュニケーションとは何か?
- 人は話したい生き物である
- 全ての人が求めているのは安心感である
そして、この3つにつながるテクニックやコツを詳しく書いています。
本の構成も素晴らしい。
- 第一章 なぜ「聞く人」はうまくいくのか?
- 第二章 人に好かれる人の聞き方
- 第三章 嫌われない聞き方
- 第四章 「また会いたい」と思われる人の聞き方
このような章立てで書かれており、内容を要約すると
- 第一章 聞くことの重要性の説明(概略)
- 第二章 聞くためにすべきこと(To Do)
- 第三章 聞くためにすべきでないこと(Not To Do)
- 第四章 まとめ
コミュニケーションとは何か?
コミュ力、コミュ障などコミュニケーションの大切さを表す言葉は多い。でも、そもそもコミュニケーションとは何か?を言える人は少ないだろう。誰かと話すこと、誰かを笑わすこと、誰かに自分のことを理解してもらうこと、これらはコミュニケーションではありません。
Wikipediaによれば、下のように説明されています。
「コミュニケーション」という語は多種多様な用いられ方をしている。一般に「コミュニケーション」というのは、情報の伝達だけが起きれば充分に成立したとは見なされておらず、人間と人間の間で、《意志の疎通》が行われたり、《心や気持ちの通い合い》が行われたり、《互いに理解し合う》ことが起きたりして、はじめてコミュニケーションが成立した、といった説明を補っているものもある
《互いに理解し合う》ことができてコミュニケーションが成立する、と言う部分は大切です。特に《互いに》と言う部分が。
人は話したい生き物である
人は聞くことが苦手です。話をしたい生き物です。関心のあることは自分のこと。自分の恋愛、自分の仕事、自分の成績、自分の痛み、自分の喜び、自分、自分、自分です。みんな自分のことを話したい。
コミュニケーションとは《互いに理解し合う》ことだとすれば、本当は誰もコミュニケーションなど欲してはいない。欲しているのは、自分を理解してもらうこと。つまり、承認欲求だけです。
話すことより、聞くことの方が簡単です。だって、相手は話したいのですから。
しかし、聞くことは難しい。だって、あなたも話したいのですから。
だから、聞くことのテクニックは簡単ですが、心構えは難しい。
全ての人が求めているのは安心感である
もし、《互いに理解し合う》コミュニケーションを目指すのではなく、他人から好かれることを目指すのであれば、聞くことが一番簡単な方法です。みんな自分のことを話したくて、それなのに殆どの人は聞くことが苦手なのですから。
話をしたいのに相手が話しさないのは、あなたとの関係に安心感がないためです。でも心配はありません。安心感を与えるのはテクニックです。主なテクニックは
- 相手を肯定する
- 笑顔で聞く
- 相手の表情と自分の表情を合わせる(ミラーリング)
- うなずきに強弱をつける
- 相手の方にまっすぐ体を向ける
- 相手の話に笑う
- 相手に感嘆し称賛する
どれも簡単なことです。「相手の話を聞く」という意思と心構えがあればできます。
まとめ
人に好かれることを目指すなら、話上手になるのではなく聞き上手になろう。聞き上手にテクニックは要らない、話をしたいという欲求を抑えた方が得だと知るだけで心構えが変わる。聞く方が得だと知っている人は少なく、聞ける人は希少な特別な人となれる。
関連書籍
聞き方(人に好かれる)の本として有名なのは、なんといっても『人を動かす』(デールカーネギ)でしょう。原題はHow to win friend and infuluence people (友達を得る方法)。
本書と書いている内容はほぼ同じですが、『ハーバード流「聞く」技術 』(パトリック・ハーラン)は、お笑い芸人パックンの軽妙な語り口で楽しく読めます。