園芸の都市伝説の一つ、「乳剤タイプの薬剤には展着剤不要」は、本当の所どっちなのでしょう?
私は、年に数度バラに薬剤散布しています。水で希釈して使うタイプの薬剤には、水和剤タイプと乳剤タイプの2種類あり、乳剤タイプを使う場合には展着剤は不要とする記事をみかけます。例えば、【農薬は正しく使用しましょう - 埼玉県 (saitama.lg.jp)】
乳剤の中には溶剤、乳化剤が含まれているため、一般的に展着剤は不要です。
一方で、乳剤でも展着剤は必要という意見もあります。例えば、【展着剤の役割と使い方 | 日本農薬株式会社 (nichino.co.jp)】
よく、乳剤を使うときには展着剤は入れる必要がないという話を聞くことがあります。乳剤にも界面活性剤が入っておりますが、こちらの界面活性剤は有効成分を水に分散させるためのもので展着剤に入っているものとは特性が異なりますので、薬液が付着し難い作物には薬剤の効果を安定させるために剤型にかかわらず展着剤の加用をお薦めします。
住友化学園芸も展着時は必要と言っています。(下のYutube)
農協は展着剤は不要と言い、展着剤メーカーは必要と言っていることから、展着剤を入れると少し良い事があるけれど、その良さはほんの少しと解釈するのが自然でしょう。
結論
展着剤を入れても特に害がないならいれて置けば良い。
マニアックなお話
展着剤を、薬剤を葉面に付ける糊のようなものと考えるのは実は浅い。以下を読むと、展着剤もなかなか深いものがあります。
- 展着剤を上手に使うための基礎と応用(1)
- 展着剤を上手に使うための基礎と応用(2)
- 展着剤を上手に使うための基礎と応用(3)
- 展着剤を上手に使うための基礎と応用(4)
- 展着剤を上手に使うための基礎と応用(5)
下のように、展着剤の成分によって効果の異なることが分かります(ところで住友化学園芸の展着剤ダインはアニオン配合系に分類され、下の表では一般展着剤になります)。さらに、展着剤に様々な機能を加えた機能性展着剤も開発されていることが記されています。
また、書籍も出ています。展着剤も奥が深い。