kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



『残り全部バケーション』(伊坂幸太郎):辞めたいものは何だろう?

 

 『残り全部バケーション』(伊坂幸太郎)を読みました。

 もし、あなたが仕事や学校を辞めて、人生の残り全部がバケーションだったら良いと思いませんか?お金の心配がないとして、ビーチリゾートのホテルに泊まって楽しいことだけして過ごすのは素敵なことかもしれません。

 

 この本は、当たり屋・ゆすりなど裏家業を生業としていた男 岡田が、足を洗いたいと兄貴分の溝口に打ち明けたことから始まるお話を含む、短編小説集です。

 岡田は、裏家業を辞めたい理由を、自分の仕事が誰かをつらそうな顔にさせるからだと言う。どうせなら喜ばれる仕事をしたい、とも言う。

 

 僕たちが仕事を辞めて人生の「残り全部バケーション」にしたいと妄想するのは、仕事が辛いからで、それから逃れたいからでしょう。つまり、岡田にとって、他人をつらそうな顔にさせることは、彼にとっても辛いことなのかもしれません。

 

 伊坂幸太郎の小説の特徴は、(1)一見バラバラに見えることが、お話の後半に一気につながってまとまっていくストーリと、(2)登場人物同士のコミカルで洒落たセリフのかけあい、です。この小説でもそれは健在で、最後の短編で、これまでのお話が一気につながっていきます。また、コミカルなセリフもあり、これだけでも楽しめます。僕のお気に入りの箇所を書いておきます。

 問題児とはいったいどういう意味なのか、僕は実はよく分かっていなかった。

「問題」児がいるのであれば、「答え」児もいるのではないか、岡田君が問題を出し、別の誰かが答えるのではないか、と発想したほどだ。

 

まとめ

 伊坂幸太郎の『残り全部バケーション』を読みました。

 この本をきっかけに、僕にとって、残りの人生をバケーション(楽しい時間)にするために、辞めたいものは何だろう?と考えました。あなたは何を辞めたいですか?