kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



リーダーを目指す人の心得

 著者のwikipedia:コリン・パウエルは、ブッシュ政権国務長官として覚えている人も多いことでしょう。

軍人としての最終階級は陸軍大将。政治家としての最高位はブッシュ政権第1期目の国務長官。軍人として輝いた栄誉には国防総省最高殊勲章、陸軍最高殊勲章、国防省第1等殊勲章、青銅章、多数の名誉負傷章、軍人殊勲章、勇猛戦士章、国防長官賞などがある。また、市民としては2度の大統領自由勲章、大統領国民栄誉賞連邦議会栄誉賞、国務長官栄誉賞などがある。また日本国から勲一等旭日大綬章を受勲し、イギリス女王からバス勲章ナイト・コマンダー(KCB)に叙されている。

 経営者によって書かれたリーダー指南本は本屋に溢れているが、元国務長官の書いたリーダー論という点で、この本はユニークである。本章では、よくある儲けるために部下をどう動かすかではなく、もっと大きな視点で部下とどう接するかが記されている。

 新しい組織に着任したら、信じてはならない確たる証拠がないかぎり、まずは、そこにいる人を信じるべきだと私は考えている。こちらが信頼すれば、相手も信頼を返してくれる。互いの信頼は時間がたつほど深くなっていく。私がうまくやれるようにと一生懸命に働いてくれる。

 よく知らない人をどこまで真司るのっかは、難しい問題だ。見知らぬ人との距離を測るのが下手な人を人見知りというが、知らない人を信頼せよ、とパウエルは考えている。すごい楽観主義だと私は思うが、悲観主義の上司の下で働くほど悲惨なことはない。やはりリーダーたるものは楽観主義でないといけないのだろう。

 リーダーは部下に対し一定の権限を持っている。仕事に関して服従を期待・要求できるし、服従しない部下や期待した成果をあげられない部下に対してはさまざまな手を打つことができる。服従だけでも仕事はすませられるかもしれないが、やる気を引きだすのは難しいだろう。仕事に対する誇りやいい仕事をしようという気概が生まれるには、優れたチームの一員だと部下が感じる必要がある。そしてそのためには、チームメンバーがリーダーを尊敬していなければならないし、また、自分たちがリーダーに尊敬されているとも感じていなければならない。

 部下のやる気を引き出すには、部下を尊敬することが必要だ。部下をリーダの権限で服従させてはいけない。そんなことをすれば、リーダが見張っているときだけしか部下は働かない。権限で人を動かすのは、良いやり方ではない。

 このとき活用し、成功の原動力になったツールが、事後に検討会をおこなうアフターアクションレビュー(AAR)という手法である。国立訓練所(NTC)は史上最高の革新的訓練所とも言われるが、 AARのコンセプトはそこで実証された。
  NTCの特徴は、戦闘訓練を終了するたびに包括的 AARをおこなう点だ。 AARでは、指揮官、オブザーバー、評価担当者が作戦本部に集まり、ビデオゲームのように戦闘を再生する。兵や車両の動き、射撃など、すべてが記録されており、それぞれについてさまざまな形で再生できる。たとえば、指揮官の作戦図に実際の作戦行動を重ね、予想と現実を比較対照することもできる。
 このあと、徹底的な分析をおこなう。すべて包み隠さず無視もせず、だ。このふり返りでは、戦闘がどのように展開したのか、どういう判断をなぜしたのか、そして、どういう行動を取ったのかなどについて指揮官とオブザーバーと評価担当者がそれぞれの評価を持ち寄る。ふり返りの目的は演習の検死解剖であり、指揮官を採点することでもなければ将来のパットン将軍(名将とうたわれた第一次・第二次世界大戦時の軍人)を選別することでもない。学びと改善のみに集中し、任務に成功したか失敗したかは問わない。非難合戦をしようというわけではないのだ。

  AARが優れているのは、このプロセスが訓練であって評価ではないからだ。一番大事なのは任務である。
(中略)

 自分たちがどのくらいの成果をあげているのか、どこを改善しなければならないのか、どうしたら問題や論争の原因を把握できるのかと考える組織なら、 AARプロセスが役に立つ。どこは正しく処理し、どこはまちがってしまったのか。検討の目的はただひとつ。自分たちのパフォーマンスを高めることだ。誰かの能力がうんぬんという話ではない。「どうすればもっとよくなるのか」と考え、お互いに腹蔵のない意見を出し合わなければならない。まち
がいを隠したり、それを避けるように組織を再編したりしない。真摯な姿勢で学びに焦点をあてること。また、 AARを採点の道具にしないことが求められる。優れた成果をあげている組織は、いずれも、このような評価が必要だと理解している。

振り返り分析(AAR)が大切なことは、今や常識である。しかし、上手に振り返り分析を行うことは難しい。振り返り分析は、「訓練であって評価ではない」べきだが、実際は自己「評価」であれ他者「評価」であれ何らかの「評価」を行う組織が殆どだろう。上手な振り返り分析ができるよう、リーダーは影響力を行使すべきである。

補足

AARの手順は、簡単。以下の4つの質問に従い考えていくだけです。あくまで責任追及しない、各人を評価しないことが大切です。

  1. 我々がやろうとしたのは何か?
  2. 実際には何が起きたのか?
  3. なぜそうなったのか?
  4. 次回我々がやろうとするのは何か? 

リーダーを目指す人の心得

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