新型コロナウィルス感染も抑え込まれており、産業への自粛も緩和されつつあり、日本の経済は以前の水準まで回復を目指している。しかし、日本の労働生産性は低いと言われ続けており、働き方を元に戻すのは考えものだ。むしろ自粛要請されている今の方が生産性が高い部分もある。
東京アラートも解除され、休業要請も全面解除されそうだ。
ホームセンターや衣料品店の営業時間も現在は短縮営業で夕方6時に閉まる店も多い中、今後は営業時間も伸びていくものと思われる。
ところで、日本の労働生産性は低く、もっと効率の良い働き方がコロナ前には模索されていた。これについて、従業員個々人の働き方や能力の点から改善を求める声が多いが、私は経営者やマネージャの働かせ方にも大きな問題があると考えている。
例えば、現在の衣料店は夕方6時に閉店しているとすると、午前10時~夕方6時の8時間営業ということになる。これを夕方8時まで営業するとなると、10時間営業となる。一方、マクロに衣料品業界を見ると、毎年の売上高は伸びてはいない。つまり、店舗の営業時間を伸ばしても、衣料品業界全体では売り上げは伸びず、労働生産性は下がる可能性が高い。
労働生産性が下がるのにも関わらず、どうして経営者は営業時間を伸ばすのだろう?それは隣の店に負けないためだ。こうして、衣料品業界全体を考えるのではなく、同業他社との競争だけを考えた働かせ方をする。その結果、労働生産性は下がっていく。
「お客様のことを第一に考える」、経営者が従業員に良く言わせる言葉だ。これは、ミクロな視点で隣の店舗との競争に勝つための戦略で、労働生産性を下げる可能性が高い。業界全体の売り上げが伸びるような戦略が無ければ、ゼロサムゲームを夢中でやっていることになる。
新型コロナウィルスによる自粛が緩和されていくなかで、元の営業に戻すことは、ゼロサムゲームに従業員を投入していくのと同じだ。優れた経営者は、元には戻さず新たな手を打つのだろう。
まとめ
新型コロナウィルスの感染が抑えられ、自粛要請が緩和され、各産業の活動がもとに戻ろうとしている。一方で、日本の労働生産性は低いことが以前の問題で、それはゼロサムゲームにコストをかけているため。自粛要請緩和で店舗の営業時間を元に戻せば生産性も下がる。優れた経営者は、業界全体の売上高を伸ばす戦略を考える。