kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



資本主義の極意

 「資本主義の極意」(佐藤優)は、そもそも資本主義とは何か?を述べた本である。
 企業は、常に成長を求められている。あの会社の成長戦略は何だ? これがニュースでは常に取りあげられる。しかし、なぜ企業は成長しなければいけないのだろうか?当たり前すぎて誰も答えを持っていないように思える。答えは、資本主義だからである。
 資本主義とは、お金で「労働力」を買うことができる経済システムのことだ。アメリカの高校生の経済の教科書には、資本主義の世界には、3種類の人がいる、(1)起業家、(2)資本家、(3)労働者、と記されている。
 「資本主義の極意」では、マルクス経済学と宇野弘蔵理論を使って、日本の資本主義を説明している。
 資本家にとって、労働者の給与は、製品の材料費と同じで、低ければ低いほど良いものである。労働者の給与は、その労働者が働き続けるための衣食住の費用によって決まる。イノベーションによって、少ない労働力で生産が可能になれば、労働者への給与は下がる。吉野家などのファーストフードにより必要な食費は下がり、ユニクロなどのファーストファッションにより衣料費も下がる。そのため、労働者の給与も下がる。
 資本家は、資本を投下することで、多くの金を得る。労働者は、生活に必要な費用に見合う給与を得る。こうして、格差は広がっていく。つまり、資本主義とは格差を広げる経済システムである。
 著者の佐藤優は、資本主義がこの世の絶対的なシステムではなく、正義でもないことを知ることで、労働者個々人が資本主義と付き合い方を決めていけると、言う(つまり、リベラルアーツということ)。資本主義の根幹には、お金が大切という思想がある。この思想を信奉するかどうかは、労働者個々人が決めることであり、これこそが資本主義との付き合い方を決める。