この本は、倫理の本だ。
漫画版が流行ったようで、書店に並ぶ様子をよく見かけた。
まさか倫理の本だとは思ってもみなかった。倫理の本が一般にウケるとは思わないから。しかもこれは中高生向けだ。中高生が倫理を求めるとはなんとなく思えない。
内容は、とても平易な文章で書かれていて読みやすい。また、主人公のコペル君がおじさんと出来事を話したり、アドバイスをするという形式も、一つ一つのエピソードが身近で具体的で分かりやすい。
さて、本書の内容に踏み込むよりも、倫理という分野について書くのが良いように思う。
そこで、「ここは今から倫理です」(雨瀬シオリ) (ヤングジャンプコミックス)の冒頭を借りようと思う。
倫理は学ばなくても将来困る事はほぼ無い学問です。
地理や歴史のように生活する上で触れることは多くないし
数学のような汎用性も英語のような実用性もありません。
この授業で得た知識が役に立つ仕事はほぼ無い。
この知識がよく役に立つ場面があるとすれば、、、
死が近づいた時とか。
倫理は主に自分がひとりぼっちの時に使う。
信じられるものがなくなった時、死が目前に迫った時、人は宗教による救いを求める。“宗教とは何か”
人間関係がうまくいかない。他人を羨んで妬んでうまく生きることができない。“より良い生き方を考える”
悩みが絶えず苦しい、、、憂鬱、、、私は何のために生きている?“幸せとは何か?”
“ジェンダーについて”
“命とは何か?”
ほぼ役に立たない倫理が必要とされる場面はとてもシビアである。
本書は、その入門編として記された本だ。