傷んだり弱ったりした苗を買ってきて、それを復活させるシリーズです。今回はジュリアン。
弱った苗を復活させると園芸の腕が上がります。葉の様子を観察し、ポットから苗を抜いて根を観て、弱った原因を考えて対策を打っていく、これを繰り返すと経験値がグッと上がります。
もちろん、失敗はあります。復活せずに枯れてしまったりすることもありますが、失敗しないと上手になりません。水をやり過ぎた、水をやらなさ過ぎた、肥料が多すぎた等々、適量を知るためには極端に多過ぎや少な過ぎを試してみるのが一番です。丈夫に育った苗では多少無理をしても、苗が耐えてしまって失敗が難しい。そこで、弱った苗を買って、試すと適量が分かりやすい。
弱った苗を観察
今回購入したのは、3号ロングポットに植えられたプリムラ「アンティークマリアージュ」。シックな色合いの花が素敵です。
花も咲いて、株も盛り上がっていて、そんなに悪そうな株に見えないかもしれません。しかし、葉のふちを見ると黄色くなっていて、この点が気になります。
花と花芽を全部取ると、ずいぶん葉が弱っていることが分かります。葉の緑色も薄い。
ポットから苗を抜いて根をチェックすると、細根は黒くなっていて、白く生きている根は太い根だけでした。植物の根は、太い根は体を支える役目をしていて水分や養分を吸いません。大切な水分・養分を吸うのは細根です。その細根が傷んで、養分を据えていない状態のようです。
このように苗を観察した結果、根の傷みが原因だと推測できます。
では、なぜ根が傷んだのでしょう?
水で軽く土を落としたところ、すごく水はけの悪い土であることが分かりました。土が細かくて粘土に近い感じがします。ジュリアンは水持ちの良い土を好むので、生産者さんが水持ちの良い(つまり水はけの悪い)土を使って苗を出荷し、販売店が水やりを繰り返すうちに土が砕けたのかもしれません。販売店で水をやり過ぎて根腐れしたようです。
復活作戦
まず、傷んだ根を回復させることにします。
そのため、水はけの良い土に植え替えるのが一番です。そこで、鹿沼土を入れた5号スリット鉢に苗を植え替えました。根が復活するまで肥料は抜きです(根の傷んだ苗を復活させるときは、肥料を抜いておくのがコツです)。
水持ちの良い土を好むジュリアンを水はけの良い土に植えたため、水やりは頻度多く行うつもりです。
さらに、栄養を根に回すため、花と花芽を全て摘みます(植物は花に栄養を集めてしまうため、花があると根に栄養が向かわないため)。
結果(3月21日)
1か月経っての結果を紹介します。
結論は失敗でした。プリムラジュリアンの根は直根のため、根は復活しませんでした。もう少し時間を掛ければ何とかなるかもしれませんが、ジュリアンの花を楽しめるのは4月までですからこれ以上引っ張っても花を見る時間が残りません。時間切れです。
まとめ
今回のジュリアンは、水持ちの良すぎる土に苗が植わっており、根腐れしていました。まずは、傷んだ根を回復させることを第一優先にして
- 土を水はけの良いものに変更(そのぶん水やり頻度を上げる)
- 肥料は無し
- 花と花芽は摘む
一か月後、ジュリアンは復活しませんでした。プリムラジュリアンの根は直根性であるため、再生に時間がかかるようです。来年からは、直根性の植物は傷んで割引されている苗は買わないことにしようと思う。
比較
今回の弱った苗を、元気な苗と並べて写真を撮りました。葉の緑色の濃さが全然違います。根が養分を吸えていないことが分かります。