kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



「読む力」(佐々木俊尚)の感想レビュー:情報が溢れる時代だからこそ、正しく読む力があなたを賢くする

君たちったら何でもかんでも

分類 区別 ジャンル分けしたがる

ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか

この世の中2種類の人間がいるとか言う君たちが標的

持ってるヤツと持ってないヤツとか

ちゃんとやるヤツとヤッてないヤツとか

(Habit SEKAI NO OWARIより)

 

 佐々木俊尚の「現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全―脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!」を読んだ。著者の佐々木さんと言えば、名著『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)』で、ネット上に情報が溢れた後には情報のまとめ・要約が重要になることを、指摘した人物だ。今では当たり前だが、当時それを言ったことのインパクトは大きかった。

 

 この「読む力」の最重要なメッセージは、『「読むこと」の大きな目的は「多様な視点」を獲得すること』である。

 ネットや動画では、ものの見方が非常に偏っている。「ロシアによるウクライナ侵攻は、ロシアが悪い!」、「昆虫食の時代がやってくる」、「多様性が大切だ」など。

 しかし、学校のお勉強とは違い現実の社会に正解は殆ど無い。でも、人間は物事を、分類区別ジャンル分けして単純化しがちだ。その方が簡単で理解しやすいからだ。また、ネットで情報を発信する側も、物事を単純化する。その方が読者に刺さるからだ。この世の中2種類の人間がいる、持ってるヤツと持ってないヤツだなど。ロシアによるウクライナ侵攻についても、ロシア側から見た理屈のあることを忘れて、戦争には良い奴と悪い奴がいる、悪い奴はロシアだ、と言っている。

 正解がないのだから、分類区別ジャンル分けするのは危険だ。本書の著者は言う『「正解はないが、さまざまな見方がある」という原理原則をきっちりおさえておく』ことが大切だと。

 そのためには、敢えて異なる意見の情報に触れる必要がある。しかし、ネットの世界ではこれが非常に難しい。推薦アルゴリズムが背後で動いているからだ。特定の意見の記事を読むと、それと同じ意見の記事ばかりが表示されるようになる。いわゆるエコーチャンバー効果だ。

 

 本書では、多様な視点を獲得するために必要な、情報の探し方、情報との接し方、読み方、まとめ方を書いている。このあたりのメソッドは本書を読んで欲しい。大切なのは、『「読むこと」の大きな目的は「多様な視点」を獲得すること』という心構えを持つことだ。