オリンパスのカメラ事業の先行きを心配するニュースが錯綜している。
- オリンパス、デジカメ抜本改革は待ったなし(東洋経済オンライン)
- オリンパス、デジタル一眼レフ撤退との一部報道を否定(マイナビニュース)
- 当社に関する一部報道について(オリンパス社:文面は以下)
昨日(2月12日)、一部報道機関において、デジタル一眼レフカメラからの撤退、および大幅な縮小等を検討しているとの報道がありましたが、そのような事実はございません。
当社は、今後強化するミラーレス一眼カメラとともに、デジタル一眼レフカメラについても従来と変わらず継続してまいります。
オリンパスの決算発表はそんなに悪かったのかと心配になり、決算発表の資料を見てみました。
オリンパス決算発表資料より
要するに
- ミラーレスの売上げは好調(ただし、利益が出ているかは不明)
- コンパクトカメラの売上げは不振
- 3Q累計で88億円の赤字(年度を通じて160億円の赤字予想)
この不振のデジカメ事業をどうするつもりだったかというと、「オリンパスのカメラ事業の行方」に書いたように、以下の戦略をオリンパスは採っています。
- 製品ラインナップの絞り込み(ミラーレスと高級コンパクトデジカメに注力、つまり3万円以下のコンパクトデジカメは力を入れない)
- 製品力向上(14の技術を選んで、それらの研究開発に注力)
- コスト削減
一方、オリンパスは決算発表の音声データも公開しており、Q&Aの様子も聞くことができます(情報開示範囲の広さにオリンパスが好きになりました)。これを聞くと、会場からの”映像事業を今後どうするんだ?”という質問に答えられていません。「抜本的な改革を行う」という曖昧な答えに終始しています。 この答えを聞いた報道機関が、「抜本的な改革」=「撤退あるいは大幅な縮小」と解釈したことが推測できます。
さて、オリンパスは今後どうするのでしょうか、これからは私の推測です。
- シナリオ1(成功シナリオ)は、技術開発とコスト削減がうまくいき収益が改善する、というもの
- シナリオ2(縮小シナリオ)は、デジカメ事業を大幅縮小する、というもの
- シナリオ3(撤退シナリオ)は、デジカメ部門をどこか(サムソン? or 台湾メーカ or パナソニック(マイクロフォーサーズつながり) or ソニー(資本つながり))に売却して、オリンパスは撤退するというもの
オリンパスの経営陣は、5月の決算発表までには「抜本改革」の具体的な内容を公表すると言っているので、シナリオ1を採るためには4月の終わりまでには成功を期待させる製品を出す必要があるでしょう。
CP+ 2013ではE-P5の登場をほのめかすものの具体的な情報を何も出せなていませんので、E-P5の開発スケジュールが遅延している(たぶん商品企画の段階で遅延している)状態と推測します。製品の目玉になる機能がみつからないときにこういう遅延がよくおきます。ソニーのNEXとの差別化するのはなかなか難しいでしょう。4月終わりまでにE-P5を出すために、今は一生懸命頑張っていると思われます。
一番ありそうなのがシナリオ2ですが、、、 特にこれにコメントすることはありません。
シナリオ3をオリンパスの経営陣が選択したとすると、その勇気に私は驚嘆します。オリンパスの中核事業は医療事業ですから、デジカメ事業を捨てることも悪くないですがやはりコンスーマ市場でのオリンパスブランドを捨てるのは勇気がいると思います。もし、シナリオ3を選んだとして、事業売却先はどこになるのでしょうか? 普通は、ホンハイなどの力をつけている台湾メーカに売るのが話が早そうです。コダックの事業を引き継いだJK Imaging Ltdなども面白いと思います。
最後に、私はオリンパスのファンです。マイクロフォーサーズという規格も、今後の撮像素子の進化を考えれば、レンズ込みで小型化できる良い規格だと思います。是非、面白いカメラを作って、オリンパスのカメラ事業が復活することを願っています。