kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



パナソニックは7650億円の赤字予想、営業利益は1400億円の黒字予想、結局赤字なの?黒字なの?

 各社からの決算発表が続々と発表されている。その中で、パナソニックの決算発表に注目が集まっている。例えば、「パナソニック、最終赤字7650億円 1950年以来の無配転落」(Yahoo)。ところが、パナソニックの決算発表を見ると、営業利益の予想は1400億円の黒字となっている。え? パナソニックってどうなっているの? 調子がいいの?悪いの?っていうことが実は分からない。今回は、この辺を調べてみました。

本業は儲かっている

 実は、利益には営業利益・経常利益・純利益の3種類があります。これらを、ざっくり説明すると

  • 営業利益:製品を売ったときの売値からコスト(製造費や広告費等)を引いた額
  • 経常利益:営業利益に、銀行利息などの本業以外の利益を加えたもの
  • 純利益:経常利益に、特別収益・損失(なんだか特別に良いこと、悪いことがあったときの利益や損失)を加えたもの

 なぜ、3種類の利益があるかと言うと、一つの指標だけでは企業の実態が分からないので、3つあるわけです。其々どういう使い分けかと言うと

  • 営業利益:本業の調子の良さを表わす
  • 経常利益:資金調達のうまさを含めて本業の調子の良さを表わす
  • 純利益:全部ひっくるめて企業の調子の良さを表わす

今回のパナソニックの決算は、営業利益は1400億円の黒字予想であるので、本業は儲かってますよという意味である。

帳簿上赤字にした

 一方、純利益は7650億円の赤字予想であるので、本業以外のなにかが足を引っ張ったということである。足をひぱった物を調べてみると

  • 事業構造改革費:4400億円
    • のれん減損:2378億円
    • 無形資産減損:876億円
    • その他
  • 繰り延べ税金資産の取り崩し:4125億円

となる。
 これら(のれん減損、無形資産減損、繰り延べ税金資産取り崩し)は、帳簿の操作だけの話である。例えば、のれん減損とは何かと言うと、他社を買収すると必要になる帳簿操作である。具体的に説明すると、A社を買収するとき通常はA社の株式を取得することになる。株価は市場で上がったり下がったりするので、A社の価値とは無関係に買収額は上下する。ここでA社の買収額を100億円としよう、一方でA社はビルひとつを所有していてこれが10億円(資産)だとします。するとA社を買収したとき、A社の価値を100億円と考えてよいのか10億円と考えてよいのか二通りの考え方が出てきます。そこで、帳簿上は10億円のビルと90億円の”のれん”という資産を持っていることにします。この90億円の”のれん”は、実態がありませんから帳、そのまま簿に残しておくことも、どこかの時点で90億円の損失がでたことにして帳簿から消しさることもできます。この消しさる操作が”のれん減損”です。

パナソニックの問題は何か?

 今回パナソニックが帳簿上の操作で赤字にしたのは何故でしょうか?それは、手持ちの現金が少なくなっているためでしょう。パナソニックの発表によれば、2012年9月待つ時点で

  • 流動資産(簡単に言えば、現金):2兆5995億円
  • 流動負債(簡単に言えば、近々に返済すべき借金):2兆7459億円

となっており、銀行から借金ができなくなると倒産の危険があります。
 そこで、パナソニックは「キャッシュフロー経営実践プロジェクト」を立ち上げて、現金増額に注力するようです。

まとめ

 パナソニックの赤字額の大きさから不安を煽る報道がなされているが、決算の中身をみると本業は儲かっており、帳簿上の操作で赤字に敢えてしたようである。では、なぜ赤字に敢えてしたのだろうか? 私には、パナソニックの津賀一宏社長が、社内の気を引き締めるために、そうしたように思える。自分たちを「負け組」と呼んだ点からも、今回の決算は社内に向けてのメッセージだったように思える。だとすれば、おっかない社長だなぁ。社内改革やる気満々だもの。

 

残念ながら、当社はこの領域で「負け組」になっていると言わざるを得ません。

決算説明会資料より、デジタルコンシューマ関連商品に対して


財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方 (朝日新書)

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