kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ

はじめに

 「ホワイトスペース」は、ビジネスモデル・イノベーションについての理解を提供し、ビジネスモデルを変える試みがより上手くいくようにする。

 本書の大きな意義は、ビジネスモデルの構成要素を明らかにするという非常に困難な課題を成し遂げたことにある。

(序文 P&G 前会長兼CEO A.G. ラフリー より)
 
 ビジネスモデル・イノベーションを起こすとは、端的には以下のように言える。

 利益を得る方法を変更し、顧客に提供する価値を変更し、商品を市場に送り出すまでの社内外のプロセスの組み合わせを変更しなくてはならない。

 ビジネスモデルを変えるためには、二つのことが必要である。

  • ビジネスモデルとは、そもそも何かを、理解すること
  • ビジネスモデルを議論する共通言語を、会得すること

この二つをマスターした後で、行う作業は現在のビジネスを理解することである。

 自分たちが現在行っているビジネスの性格を正しく把握する

この理解とは、上記共通言語で、自分たちの現在のビジネスを記述することである。

共通言語

  ビジネスの共通言語とは、以下の4つのブロックからなる

  • 顧客価値提案
  • 利益方程式
  • 主要経営資源
  • 主要業務プロセス
顧客価値提案

 顧客のJob, Pain, Gainを見つけ、それにフィットする価値提案を考える。

 マーケティング論の専門家であるセオドア・レビッドが喝破したように、顧客は商品を買っているように見えても、実質的には特定のジョブを成し遂げるためにその商品を「雇って」いる。レビットが用いた霊によれば、お店にドリルを買いに来た消費者が欲しいのは、ドリルではなく、ドリルを使って開ける「穴」なのだ。ドリルは、穴を開けるというジョブを成し遂げるために「雇われ」ているにすぎない。

 顧客価値提案については、「バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る」という本に詳しい。

利益方程式

 利益方程式とは

 利益方程式 -- 企業がどのように自社と株主のために価値を作り出すかという青写真。収益モデル、コスト構造、商品やサービス一単位あたりの目標利益率、経営資源の回転率の四つの変数で構成される。

 俺のイタリアンや、アマゾンドットコムの利益方程式は 利益率は低いが経営資源の回転率を高いことが特徴である。

 収益モデルは、以下の3つの変数により表す。

  • 獲得できそうな顧客の数
  • 一人の顧客が、一回の取り引出購入する商品やサービスの数量
  • 一人の顧客に、南海の取引が期待できそうか

 
 コスト構造は、以下の二つの要素からなる。

  • 直接費
  • 間接費

 

主要経営資源・主要業務プロセス

 主要経営資源とは、顧客価値の提案を実現するために必要な人材、テクノロジー、商品、施設・設備、納入業者、流通経路、資金、ブランドなどである。
 主要業務プロセスとは、持続可能、再現可能、拡張可能、管理可能な形で顧客価値の提案を実現するための手段である。

まとめ

 本書は、ビジネスモデルの構成要素を明らかにし、共通言語にまとめている。これにより、自分たちの現在のビジネスモデルを認識することができ、新しいビジネスモデルを議論することが可能となる。
 ビジネスモデルの検討を行う人は、本書を一読することで、頭の整理ができること請け合いである。
 ビジネスモデルの議論を行うにあたり、約に立つ本を以下に紹介しておく。


バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ

ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ

補足

 セオドア・レビッドの部分を再引用する。実際に顧客価値を検討する際には、自分が商品の製造・販売業であっても、顧客へのサービスという視点で顧客価値を考えることが重要だ。顧客は商品を「雇って」いるとは、顧客にとっての本質的な効用は、所有することではなくサービスを受けることから発生する。

 マーケティング論の専門家であるセオドア・レビッドが喝破したように、顧客は商品を買っているように見えても、実質的には特定のジョブを成し遂げるためにその商品を「雇って」いる。レビットが用いた霊によれば、お店にドリルを買いに来た消費者が欲しいのは、ドリルではなく、ドリルを使って開ける「穴」なのだ。ドリルは、穴を開けるというジョブを成し遂げるために「雇われ」ているにすぎない。