kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



Value Proposition Design

 Value Proposition Designは、価値提案キャンバスの本である。

 「モノづくり」。こんな言葉が散見されるように、日本では製造業を中心にビジネスが考えられる。しかし、世界のイノベーションは、製造業ではなくサービス業で起こっている。Google, Apple, GEなどハイテク企業もサービス産業に参入している。

 サービス産業において、競争力の源泉はビジネスモデルにある。そのビジネスモデルの根幹にあるのは、顧客への価値提供である。どんな顧客価値を提供するかで、ビジネスモデルの良し悪しのほとんどが決まる。

 これほど重要な顧客への価値提案であるにもかかわらず、これに関わる議論はワンパターンになることが多いのではないだろうか。例えば、顧客として一般的なユーザ像を描く、顧客価値として低コストを目指す、あるいは高機能を目指す議論をし、どうやって低コストで実現するか(大抵は調達ルートの工夫か人員の削減に論点が集中する)、どうやって高機能を目指すか(大抵は研究開発、オープンイノベーション、根性論に論点が集中する)に良いアイデアが無く、話が進まないというのが典型的だろう。

 本書では、顧客をそのJob,Pain,Gainの3つの要素で整理することを提案する。すなわち、この3要素で顧客プロファイルを定義する。そのPain,Gainに対して企業が提供する製品・サービスがフィットしているかを確認するというフレームワークである。

 このように顧客を、Job,Pain,Gainの3要素で分析するというシンプルなフレームワークであるにも関わらず、この分析がなかなか難しい。顧客を具体的にイメージするほどJob,Pain,Gainを描くことは容易になる。しかし、具体的にするほどイメージできる顧客数が減っていき潜在的な市場が小さくなり、ビジネスモデルが描けなくなる。ここら辺は、場数を踏むしかない。

 それでも、チームで議論するとき、顧客のJob,Pain,Gainの3つに絞って議論できるというのは、効率的だ。また、想定していた顧客プロファイルが間違っていても、どこが間違っていたのか検証することも容易になる。

ビジネスモデルの検討をする際には、メンバー内でフレームワークを共有する必要がある。まずはシンプルなフレームワークで考えたいというときには、非常に参考になると思う。

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る