kotaの雑記帳

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映画『THE FIRST SLAM DUNK』:キツくても…、心臓バクバクでも…、めいっぱい平気なフリをする、すげぇキツイから

 

 映画スラムダンク『THE FIRST SLAM DUNK』を観た。

 

映画と原作の評判

 この映画は、日本だけでなく韓国や中国でも大人気絶賛公開中だ。中国では、前売り券の興行収入が約22億6000万円を突破し、中国における日本のアニメ映画歴代興行収入1位を記録した。韓国では、2023年1月4日に上映が始まり、観客動員数は1月27日にトップになって以降、19日連続で1位となり、累計では400万人を突破した。これは日本映画として観客動員数1位だった新海誠監督の「君の名は。 」を抜いて歴代1位の記録を塗り替えた。

 さて、原作コミックは、今から30年以上前の1990年から1996年まで週刊少年ジャンプで連載され、単行本は全31巻。韓国では、原作コミックの新装再編版が100万部を突破している。

 さらに、江ノ電 鎌倉高校前駅の踏切は、スラムダンクの聖地として海外からの巡礼者も多く、ここに行くとスラムダンクが中国・韓国で人気であることを実感する。

鎌倉、海外沿いのバスケットコート

 

映画の感想

 いろいろと感ずるところは多いが、ここでは大きく二つ、(1)映画から受ける印象、(2)映画のストーリーについて書く。

 

(1)映画から受ける印象

 映画スラムダンクの印象を一言で言えば、昭和の濁っていてザラザラした感触のする映画だ。
 最近のアニメ映画によくある透明でツルツルした感じではなく、濁っていてざらざらしている、そんな絵作りとストーリー。強くなりたい・勝ちたい・負けたくないという欲がスクリーンから放たれている。スマートに軽やかに勝つのではなく、ドロドロになりながら這いつくばって進むキャラクター達。良くも悪くも昭和の匂いがする(原作コミックの連載が始まったのは平成2年だ。)。不良やリーゼーント、学ラン、ケンカの世界で、尾崎豊の名曲「卒業」が似合う。

誰かの喧嘩の話にみんな熱くなり、

自分がどれだけ強いか知りたかった。

力だけが必要だと頑なに信じて、

従うとは負けることと言いきかした。

 

 今は熱くならずクールに損得を判断する、無駄なことはしない、それがカッコいいとされるが、それとは違う世界の物語がスラムダンクだ。こういった空気感とその背景。そして、かつての昭和の匂いのするこの映画が今ウケているのかに思いを馳せると楽しい。

 

(2)ストーリーの構成について

 コミックを映画化するとき、一般的には原作のストーリーをぎゅっと縮めるのが定番だ(東京リベンジャーはこの典型)。2時間弱の映画の長さに収めるため、原作中で描かれていた詳細な説明や状況描写が省かれる。そのため、原作を読んでいない初見者にとっては少し分かりづらくなり、原作を読んでいる者にとっては新鮮味の無いストーリーになる。

 それに対して、この映画では、コミックと違ったスポットライトの当て方とストーリー展開をし、それでいて原作の放つ匂いは変えていない。この映画でスポットライトが当たっているのは、宮城リョータ、三井寿、赤木剛憲。コミックでは主人公の桜木花道には殆どライトが当たらない。そして、流川楓に至っては殆ど登場しない。天才流川が活躍しないからこそ、宮城リョータの良さが際立つが、勇気のいるストーリーメークだ。おかげで、原作を読んだことがあってもなくても楽しめるものになっている。

 映画の中で、山王工業高校との試合と、選手の過去エピソードが混在する。これにより、苦しい試合の中の苦しさに耐える個々の原点が浮き彫りになる。

 

感想(好きなところ)

キツくても…、心臓バクバクでも…、めいっぱい平気なフリをする

このセリフが映画の中の最重要メッセージだ。これが宮城リョータと絡めて描かれているのは、彼が他人には平気な態度をとるからだ。映画中で、リョータが試合前にトイレで吐くシーンがあり、試合中の彼は「めいっぱい平気なフリを」していることを想起させる。すごく上手で練られた映画だ。

 

まとめ

 映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観た。

 これは、濁っていてザラザラした印象の映画だ。原作とは異なるストーリー展開をしているのに、原作の匂いは忠実に再現している。

 試合前にトイレで吐くような心理状態でも、「キツくても…、心臓バクバクでも…、めいっぱい平気なフリをする」映画だ。

 

おまけ

映画館に行くと、シールをもらえます。

映画館でもらったシールシート