kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



戦略論

 この本の中で心にひっかかたことを記す。

 事業ドメインを定義することの重要性を記している。これは事業リソースを分散させないためである。ここで注意が必要なのは、事業ドメインをどのように定義するかである。これにはポイントが二つある。

 一つ目のポイントは、マーケットの大きいあるいは自社の強みを生かせる事業ドメインを定めること。考えてみれば当然であるが、その事業ドメイン事態に魅力がなければ参入する意味がない。

 二つ目のポイントは、顧客ニーズに沿った事業ドメインを定義すること。これが意外に難しい。本書の中の例を挙げる。

洗剤メーカーは大勢の化学者を抱え、より多くのすぐれた洗剤を製造・販売することが自社の事業ドメインだと考えている。しかし良く考えてみれば、洗剤そのものを買いたいと思っている人はいない。買いたいのは、衣服の汚れを取り除く効用である。
(中略)
そして、ユーザの目的観衆の主軸であること(この場合は洗うこと)に沿って自社の事業を定義しない企業は、真に顧客指向であると主張できない。

企業にとって、従業員の力を一つの方向に束ねることは大変重要である。このためには、明確な事業ドメインの定義が有効である。ここで、もし事業ドメインを洗剤を売ることと定義すると、従業員はより良い洗剤の開発にまい進するであろう。一方、もし事業ドメインを、衣服の汚れを取り除くことと定義すると、洗剤以外の汚れを落とす手法も検討するであろう。さらに、事業ドメインを、服をきれいにすること、と定義すれば、汚れない衣類の開発も事業ドメインに含まれることとなる。

 このように事業ドメインの定義は、企業の事業リソースを投入する範囲を決めるものであるため、真のユーザニーズに沿ったものでなければならない。

 もし、あなたが経営者でなく従業員であるならば、是非ご自分の会社の事業ドメインをチェックして頂きたい。ユニクロの柳井さんが言うように真に強い企業は、従業員一人一人が経営者マインドを持っていなければならないのだから*1


大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点

大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点

一勝九敗 (新潮文庫)

一勝九敗 (新潮文庫)

*1:顧客から離れた経営層が顧客ニーズを知ることはできない、それゆえ正しい事業ドメインを経営層幹部が定義できる筈がない。