まずはお話から。
ある街の住宅を建てている工事現場で、二人の職人がレンガを積んでいた。通行人が、背の高い痩せた職人に「何をしているのですか?」と聞いた。その職人は「見て、分からないかい?レンガを積んでいるんだよ」と答えた。通行人は、もう一人の職人にも聞いた。「何をしているのですか?」。二人目の職人は答えた。「家を作っているんだよ。ここはリビングで、あちらは寝室だよ。いいレンガを使っているから暖かい丈夫な家になるよ」
さて、「ストーリとしての競争戦略」の中で、機能分化型組織と価値分化型組織という言葉が出てくる。機能分化型とは、レンガを積む人はレンガを積むだけに集中し、従業員はその与えられた職務にのみ集中する。価値分化型とは、レンガを積む人も、配管をする人も、出来上がったものが客をどう喜ばせるかに意識を払う。
欧米の社会は概して機能分化型で、日本の社会は概して価値分化型というのが著者の楠木健氏の意見だ。欧米のビジネス論を見ると、カスタマに気を配れなどと機能分化型から価値分化型への移行を促す動きもあるようだ。一方、日本人の私からすると、どんな部署の人間もカスタマに提供する価値を意識するのは、当然のことに思える。それが欧米では違うんだということに、びっくりした。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
- 作者: 楠木建
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/04/23
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