年末に、松尾園芸のYoutubeを観ていて、土のことを調べてみようと思いました。バラを育てる上で一番お金を掛ける価値のあるものは、「土」だと言っています。
バラの土と言えば、排水性が良くて保水性が良くて保肥力の良い土が好ましいと言われますが、それとは別に土の改善は、物理性、化学性、生物性の点から改善と言われることがあります。これらを整理すると、
- 物理性:いわゆる排水性、保水性、通気性のこと(重さも含む)
- 化学性:土の酸度(Ph)、肥料成分(窒素、リン酸、カリ、微量要素など)
- 生物性:土中の微生物の種類や活発さ
物理性は団粒構造の土を作りましょうとよく言われるやつですね。フカフカの土と感覚的な表現が使われることもあります。化学性は、酸度と窒素、リン酸、カリは分かりやすいのですが、微量元素というやつが分かりずらいですね。生物性については、二つ目的があります。一つ目は、微生物が病原菌に偏ると植物が病気になりやすいので、いろんな菌が住む土を作って相対的に病原菌を減らし、植物が病気になりずらいようにすること。二つ目は、微生物がたい肥などの有機質を食べて土を団粒構造に変えて物理性を改善すること。
ざっと調べるとこんな感じなのですが、分からないことがまだまだあります。そこで色々と調べたことを自分へのメモとして書いておきます。
保肥性
保肥性とは、言葉の通り肥料を保持しておく能力のことで、CEC(Cation Exchange Capacity,陽イオン交換容量)という値で測ります。そもそも、肥料成分(アンモニウム、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)は、プラスイオンの形で土中に存在するため、土がマイナスの電荷をもっていると肥料成分を電気的に引き付けて土中にとどめます。これが保肥力です。
さて、この大切な保肥性を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?
答えは、CECの高い資材を使うことです。
以下の記事によると、
【赤玉土を深掘り〜各性質をできる限り数値で表してみた〜 - BBYの観葉植物 Discussion Note (hatenablog.com)】
- 赤玉土のCECは12.83~28.54[meq/100g](ただし、市販の用土は12.83~17.54)
- 理想のCECは20~30[meq/100g]
また、以下の記事によると
【CEC(塩基置換容量)とは? | GarDeco Japan】
- ゼオライト…CEC約150[meq/100g]
- 珪酸塩白土…CEC約65[meq/100g]
- バーミキュライト…CEC約150[meq/100g]
- ピートモス…CEC約100[meq/100g]
- バーク堆肥…CEC約70[meq/100g]
これらの値を基に計算すると、赤玉土7割にバークたい肥3割配合すれば、CEC約30[meg/100g]の土ができます。
リン酸固定
肥料の3大要素と言えば、窒素・リン酸・カリですが、実はこの中のリン酸は植物に吸収されにくいのです。
例えば、赤玉土は鉄分・アルミニウム分が多く、リン酸を赤玉土に施すと、リン酸が鉄やアルミニウムと結合して難溶性(水に溶けない)物質に変わり、植物の根から吸収できなくなります。これがリン酸固定という現象です。赤玉土の他に鹿沼土もリン酸固定の起こりやすい土です。
ホクレンの資料【土づくりQ&A|ホクレンの肥料 (hokuren.or.jp)】によると、リン酸固定の起こりやすさは、鉄>アルミニウム>>>カルシウム の順となっています。固定されたリン酸は、
- カルシウムと結合したものは、根の出す酸(根酸)により良く溶かされ、植物に吸収される
- 鉄やアルミニウムと結合したものは、腐植酸により一部が溶かされ、植物に吸収される
このようにカルシウムと結合したリン酸は、後で植物に良く吸収されるので、カルシウムを含むリキダスとリン酸を多く含むハイポネックス液肥を予め混合して植物に施すと、リン酸が、鉄やアルミニウムと結合する前にカルシウムと結合させることができて、有効でしょう。ただし、カルシウムと結合したリン酸を吸収するには根酸で溶かす必要がありますので、根の無い場所のリン酸を吸収することはできません。
腐植酸
鉄やアルミニウムと結合したリン酸を溶かすには、腐植酸が必要です。
腐植酸とは、以下の記事によれば
【[第八回] フミン酸とフルボ酸 | グリーンインフラの東邦レオ (greeninfrastructure.jp)】
腐植酸には3種類あり、有機物を微生物が分解した物質の中で
- アルカリに溶けて、酸にも溶ける物質を、フルボ酸
- アルカリに溶けて、酸には溶けない物質を、フミン酸
- アルカリに溶けない物質を、ヒューミン
と分けあられています。ただし、これらフルボ酸・フミン酸・ヒューミンは手順上の分け方であって、そういう名の物質がある訳ではありません。
腐植酸には、固定化されたリン酸の回収以外にも、保肥力の向上や酸度(Ph)の緩衝効果もあります。
腐植酸の商品としてはアズミンなど色々ありますが、家庭園芸で使うならば少量のものが良いでしょう。また、バラの家の「根を育てる肥料」も腐植酸資材のようです。
亜リン酸
実は、リン酸固定されにくいものがあります。それが亜リン酸です。
全農の以下の記事によれば【亜リン酸肥料の特徴とその効果 (zennoh.or.jp)】
通常の肥料中のリン酸と比べて、亜リン酸は土壌に吸着されにくい。
亜リン酸の商品としてはホスプラスやホストップスなどがあります。
調べているうちに我慢できなくなってホスプラスを買ってしまいました(笑)。



菌根菌
植物は根の無い場所の肥料を吸えないのですが、菌根菌の助けを借りることで、根から離れた場所の窒素やリン酸を吸うことができます。
以下の記事によれば
菌根菌は、土壌中に張り巡らした菌糸から、主にリン酸や窒素を吸収して宿主植物に供給し、代わりにエネルギー源として共生主となる植物が光合成により生産した炭素化合物を得ることで、菌自身が成長する。
要するに、根から伸びた菌糸が肥料分を植物に与えてくれるということです。
バラの園芸資材で菌根菌と言えば、イングリッシュローズのデビッドオースチン社が開発したローズスタートがあります。
まとめ
バラを育てるには土が一番大事ということで、深堀して調べた。
亜リン酸、腐植酸、菌根菌は園芸資材として売っているので、試してみようと思う。