kotaの雑記帳

日々気になったことの忘備録として記していきます。



SIMロック解除で ユーザは幸せになる


総務省と主要携帯電話4社が、SIMロック解除に向け合意した*1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100402-00000168-jij-pol

SIMロック解除で誰が幸せになるのでしょうか? 登場人物を挙げれば、ユーザ、携帯電話会社、端末メーカがいます。また、総務省の狙いは何でしょうか? 一度整理しておくことが必要だと思います。

総務省の狙いは、競争促進による日本の競争力強化でしょう。携帯電話会社にフォーカスを当てて考えてみると、現在の携帯電話会社の差別化要素は、料金の安さ、端末の魅力、サービス*2です。端末の魅力は端末メーカが実現しているものですから、携帯電話会社の貢献は少ない。サービスに関しては、現在は携帯電話専用のサービス(iモード等)とPC向けのサービスが別個にあるという形態ですが、世界的には珍しい形態で携帯電話からでもfacebooktwitterのようなPC向けのサービスにアクセスするというのが普通です。日本市場においてもスマートフォンがPC向けのサービスにアクセスできることの利便性をユーザに気付かせつつあると思います*3。さて、このように考えてみると、携帯電話会社の差別化要素が料金の安さしか残りません。総務省は、SIMロックの解除を通じて、携帯電話会社に料金競争をさせたいのでしょう。

端末メーカにフォーカスをあてて考えてみると、docomo向けやソフトバンク向けといったように複数の携帯電話会社向けに端末を作らなくて良いので、長い目で見れば開発・生産の効率化ができる。現在、端末メーカは携帯電話会社と密に打ち合わせをして端末の開発を行っているので、打ち合わせコストも馬鹿になりません。また、携帯電話会社A向けに開発した端末を携帯電話会社Bにも開発しようとすると、BはAよりも少しでも高機能なものを求めますので、端末メーカは全く同じ端末を出すことができません。結果、細かい違いの多種の端末ラインナップを端末メーカは維持することになります。これは端末メーカの体力を奪います。また、例えばdocomo向けに端末メーカが新製品を開発しても、通話料が高ければその端末は売れません*4。端末メーカにしてみると、自社のコントロールできない通話料というもので端末の売上が左右されるのはうれしくありません。一方、SIMロックの解除は携帯電話会社から端末メーカへの支配力を弱めますので、端末メーカは自由な発想で端末を作ることが出来ます。

こうしてみると、SIMロックの解除で、通信料金は安くなり、端末も安くなる。ユーザにとっては嬉しい話だと思います。

一方SIMロック解除を実現する上での技術的な課題は、携帯電話各社で通信方式と使用周波数が異なることです。通信方式に関しては、今後LTEに一本化するので随分楽になるでしょう*5

*1:総務省は、携帯電話会社の監督官庁なので、合意といっても携帯電話会社は無理やり合意させられたんだろうなっと容易に推測できるんですが。

*2:着歌等

*3:例えば、PCではてなブックマークを設定し、携帯電話でもそのブックマークにアクセスできる。GmailもPCと携帯電話の区別なく使える

*4:ユーザは通話料の安い携帯会社に流れるため。

*5:LTE一本化と言っても細かい部分で各社の違いは出てくるでしょうから色々難しさは残るのだけど、可能でしょう。